宇宙合金(読み)うちゅうごうきん

百科事典マイペディア 「宇宙合金」の意味・わかりやすい解説

宇宙合金【うちゅうごうきん】

宇宙空間のような無重力微小重力),高真空状態で作られる合金スペースシャトル内のような微小重力環境では,地上で水と油を混ぜたときのような比重の差による分離がなく,均一に混合することができる。また液体球状となって宙に浮くため,容器の必要がなく,容器から不純物が混ざる心配もない。こうした状態を利用すれば,地上では生成が不可能な合金など,新素材の開発・製造が可能になる。具体的には,新しい合金や複合材料,完全結晶構造を生かした高品質の半導体などが期待されている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇宙合金」の意味・わかりやすい解説

宇宙合金
うちゅうごうきん

宇宙など微小重力環境は,対流沈降静圧浮力などがない状態であるため,新しい製造方法で新しい合金がつくられる可能性がある。これらの合金を宇宙合金という。地球上では重力の影響で重い物と軽い物とは均一には混合しないが,宇宙のような重力がきわめて小さい環境下では,重力の効果が少なく,比重の極端に異なる物質同士が均一に混合した合金 (偏析のない合金) が作製できる。微小重力下で製造されたニッケルと炭化チタン粒子の分散強化合金は,地上のものに比べ約2倍の硬度が得られている。スペースラブでの実験で,多くの新しい宇宙合金の誕生が期待されている。

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