安保理改組問題(読み)あんぽりかいそもんだい

知恵蔵 「安保理改組問題」の解説

安保理改組問題

一連の国連改革論議の一環としてあるもので、特に、国連憲章で5カ国と指定されている安保理常任理事国の数を増やすかどうかが焦点。元来は大国がこの議席を独占していることにかんがみ、途上国から常任理事国を選出すべしとする見解を軸としていたが、1990年代に入り、日本が名乗りをあげたことをきっかけに、日独両国の常任理事国化も焦点になった。ガリ事務総長(当時)が加盟各国に意見書の提出を求め、その中間報告が93年7月に出されたが、憲章では10カ国とされている非常任理事国のみを増員すべきだとか、常任・非常任のいずれをも増員すべきだとか、常任理事国を増やしても拒否権は与えないとか、様々な意見があった。93年12月にこの問題を検討するための作業部会が設置された。97年3月、ラザリ国連総会議長(当時)が、常任5カ国・非常任4カ国の増加案を示したが、常任理事国増員に反対する国々の巻き返しもあって失敗した。2004年以降、日独両国が再び意欲を示し、議論が再燃したが、06年3月頃にいったん立ち消え状態になった。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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