(読み)アン

デジタル大辞泉 「安」の意味・読み・例文・類語

あん【安】[漢字項目]

[音]アン(呉)(漢) [訓]やすい いずくに いずくんぞ
学習漢字]3年
アン
変わったことがなく穏やかに落ち着いている。「安静安全安泰公安治安平安保安
心を落ち着ける。やすらかにする。「安心安堵あんど慰安
たやすい。「安易安直
値段がやすい。「安価
アンモニア。「硝安硫安
〈やす〉「安値格安目安割安
[名のり]さだ・やす・やすし
[難読]安芸あき安宅あたか安房あわ安母尼亜アンモニア

やす【安】

形容詞「やす(安)い」の語幹。
他より金額の安いこと。また、安くて粗末なこと。「アパート」「月給」
ある時期よりも金額が安くなること。「五円
軽々しく行うこと。「請け合い」

あん【安】

野球で、安打の略。ヒット。「右」「左

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精選版 日本国語大辞典 「安」の意味・読み・例文・類語

やすん‐・ずる【安】

(形容詞「やすし」の語幹に「み」の付いた「やすみ」に動詞「す」の付いた「やすみす」の変化した語)
[1] 〘自サ変〙 やすん・ず 〘自サ変〙
① 安らかになる。平安になる。安んじる。
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一一「いくらか良心が安(ヤス)んぜんから」
② 与えられた状態などに満足する。甘んずる。安んじる。
※新聞雑誌‐九号・明治四年(1871)八月「門閥世襲(せいしう)に安じ身家を顧慮する所ある時は」
[2] 〘他サ変〙 やすん・ず 〘他サ変〙
① 安らかにする。やすめる。安んじる。
※古文尚書平安中期点(950頃)「綏定(ヤスム)じ」
太平記(14C後)三五「如何してか天下を治め人民を安(ヤスン)じ候べき」
② 甘く見る。軽く見る。あなどる。安んじる。
滑稽本浮世床(1813‐23)初「汝が們までおれを安(ヤスン)じをる」

あん【安】

〘名〙
① やすらかなこと。危険がないこと。困難がないこと。
史記抄(1477)八「安と危との機は、そっとちっとの処に謀で定るものなり」 〔春秋左伝‐襄公一一年〕
② やすめること。しずめること。落ち着けること。
※禅海一瀾(1862)「自得の術は止定静安慮の五者に在り」
③ (形動) 手軽なこと。値段がやすいさま。
胡瓜遣(1872)〈仮名垣魯文〉初「僕なぞの大食には、安(アン)で佳味で泰山ある物にあらずんば満腹愉快に至らぬから」
④ =あん(案)
※拾玉得花(1428)「かくの如く当座(たうざ)当座のあてがひの安(アン)、不安の差別(しゃべつ)によりて」
高野山文書‐元徳二年(1330)一一月一五日・則松安売券「合大四十歩者〈在神前番井里十五坪内〉右件安者、則松相伝安也、而今依有要用〈略〉売渡進事明白也」

あん‐・ず【安】

〘他サ変〙
① 安置する。
※春記‐長元元年(1028)九月一〇日「如金玉求得二粒、即奉絹了奉将向、只今安彼御辛樻上
※太平記(14C後)二五翌日(つぎのひ)より兼員此の剣を平野の社の神殿に安(アン)じ」
② 心を不安や心配のないようにする。気持をやすらかにする。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)三「いまだ安(アン)(〈注〉ヤスカラ)せざるものをは安(アン)(〈注〉ヤスカラ)せしむ」

やすん・じる【安】

(サ変動詞「やすんずる(安)」の上一段化したもの)
[1] 〘自ザ上一〙 =やすんずる(安)(一)
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉二夫婦「相手に疑はれてゐるのならば、まだしもみづから安んじるところもあったらうけれど」
[2] 〘他ザ上一〙 =やすんずる(安)(二)

やすらぎ【安】

〘名〙 (動詞「やすらぐ(安)」の連用形名詞化) 穏やかな気分。ゆったりと落ち着いた心持
※残夢(1939)〈井上友一郎〉三「その馬鹿げたやうな浪費にも、黒田としては一種のやすらぎがあったわけだ」

やすら・ぐ【安】

〘自ガ五(四)〙 安らかな気持になる。ゆったりと落ち着いた心持になる。
※北野天神縁起(鎌倉初)「ひそかにかの馬場へ向ふおりのみぞ、むねのほのほ少しやすらぐ事有」

やす・し【安】

〘形ク〙 ⇒やすい(安)

やすら・げる【安】

〘他ガ下一〙 安らかな気持にさせる。落ち着かせる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安」の解説

やす

?-? 江戸時代前期の女性。
常陸(ひたち)(茨城県)那珂郡野上村の農民与次右衛門の妻。不治の病におかされた夫から離縁をせまられるが,ことわり,看護の合間に耕作し,姑をいたわった。これを知った徳川光圀(みつくに)より賞金をあたえられ,税をゆるされた。

あん

おあん

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