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南極観測のため1956年11月から62年4月まで6回にわたり海上保安庁によって運用された砕氷船。ソ連向けの耐氷貨物船として建造が開始され,1938年に竣工したが建造途中で注文は破棄され,民間の〈地領丸〉から40年に海軍特務艦〈宗谷〉(測量艦兼運送艦),戦後は海上保安庁灯台補給船となる。南極観測のため56年に満載排水量4200トン,4800馬力に改装され,その後も改装が続けられた。砕氷能力の不足から,第1次観測では氷にとじこめられ,ソ連の砕氷船オビの救援を受け,第2次観測では悪天候のため基地に近づけず越冬観測を断念するなどの不都合があった。南極輸送後は改装を受け巡視船として北方海域で哨戒や観測に従事したが,78年10月任務を〈そうや〉に譲り退役した。この頃〈宗谷〉保存の声が高まり,79年5月1日から東京港海上公園に係留保存されている(現在はお台場の船の科学館で一般公開)。
執筆者:楠 宏
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…その後基地は一時閉鎖され,66年の第7次観測により再開,現在まで越冬観測が続けられている。この間観測船として,最初は〈宗谷〉が使用され,その後65年には〈ふじ〉が,83年には〈しらせ〉が就航した。第1次に11名で始まった越冬観測は82年には35名で行われた。…
…この時期にイギリスの南極大陸横断隊のフックスVivian Ernest Fuchs(1908‐ )隊長以下は57年10月に前進基地シャックルトンを出発し,アメリカの設けたアムンゼン・スコット南極点基地に58年1月20日到着,さらにロス島のニュージーランドのスコット基地に3月2日に到着し,南極大陸横断に成功した。1956年11月,日本南極地域観測隊は〈宗谷〉で東京港を出発,翌年1月29日リュツォー・ホルム湾のオングル島に昭和基地を開設した。一時基地は閉鎖されたが,66年1月に再開,現在まで観測が続けられている。…
※「宗谷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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