官掌(読み)カジョウ

デジタル大辞泉 「官掌」の意味・読み・例文・類語

か‐じょう〔クワジヤウ〕【官掌】

《「かんじょう」の撥音の無表記から》律令制で、太政官弁官の下に置かれた官。下級官吏である使部つかいべ監督官庁および諸設備の管理整備などをつかさどった。

かん‐しょう〔クワンシヤウ〕【官掌】

かじょう(官掌)

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精選版 日本国語大辞典 「官掌」の意味・読み・例文・類語

かん‐しょう クヮンシャウ【官掌】

〘名〙
① 太政官の下僚雑役をつとめる者。太政官の弁官の下にいる官。左右各二人。読みくせとして「かじょう」ともいう。
※続日本紀‐宝亀五年(774)六月庚午「始令下二太政官左右官掌把笏
下級の諸役人。
浄瑠璃蘆屋道満大内鑑(1734)一「末(すゑ)々の官掌(クンシャウ)次第を乱さず参列し」

か‐じょう クヮジャウ【官掌】

〘名〙 (「かんしょう」の撥音「ん」の無表記から、読みくせとなったもの) 太政官の下僚で雑役をつとめる者。太政官の弁官の下にいる官。左右各二人。かんしょう。〔名目鈔(1457頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「官掌」の意味・わかりやすい解説

官掌 (かじょう)

日本古代の官職の一つ。〈かんしょう〉ともいう。律令官制においては,太政官内の左右弁官および八省に掌が置かれ,左弁官・右弁官の掌を左官掌(さかじよう)・右官掌(うかじよう),八省の掌を省掌(しようしよう)といった。それぞれ定員は2名。官掌,省掌は史生(ししよう)の配下にあって訴人の行動や言辞を指導し,使部を監督し,官庁の建物や設備を管理・整備することを職掌とする。律令制の官職は,その職掌と勤務形態により,内長上(ないちようじよう),内分番(ないぶんばん),外長上(げちようじよう),外散位(げさんい)の4種に分けられるが,官掌,省掌は内分番の雑任(ぞうにん)の一つであって,交代出勤し,年間の出勤日数が140日以上あれば成績が審査され,8年間(のち6年間)の勤務成績が総合評価されて,位階が昇叙される。のち,弾正台,春宮坊,皇后宮職,左右京職,大膳職,主計寮主税寮にも掌が置かれ,それぞれ台掌,坊掌,職掌,寮掌と称された。官掌の職は後世,左が小野・岩崎氏,右が庭田・峰氏の世襲となった。
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