デジタル大辞泉
「官」の意味・読み・例文・類語
つかさ【▽官/▽司】
1 役所。官庁。「陰陽の―」
「―にも許し給へり今宵のみ飲まむ酒かも散りこすなゆめ」〈万・一六五七〉
2 役人。官吏。「国の―」「郡の―」
「近き所々の御庄の―召して」〈源・須磨〉
3 官職。また一般に、職務。「内侍の―」
「近衛の中将を捨てて申し賜はれりける―なれど」〈源・若紫〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かん クヮン【官】
〘名〙
① 国家、政府、朝廷など、「私」に対する「公」。
※
今昔(1120頃か)九「官に汝を召す。速に可参し」
② 国の政務や事務を担当する機関。役所。官庁。
官衙(かんが)。また、そこにつとめる人。官吏。
※文華秀麗集(818)中・奉和傷野女侍中〈
藤原冬嗣〉「艷年従
レ官陪
二層秘
一、華髪辞
レ栄返
二故郷
一」
③ 特に太政官(だいじょうかん)の略。
※延喜式(927)八「其臨時祭祝詞、所司随レ事脩撰、前レ祭進レ官経二処分一、然後行之」
④ 国の政務を担当する職務。官職。役目。
※菅家後集(903頃)
叙意一百韻「爵我空崇
レ品、官誰只備
レ員」
※
日葡辞書(1603‐04)「Icquan
(イックヮン)」
⑥ 人の耳、目、鼻、口などの働き。五官。
※造化妙々奇談(1879‐80)〈
宮崎柳条〉五「耳は司庁の官
(クヮン)なり」
がん グヮン【官】
①
遊里で
金銭を多く使って豪遊する客。
大尽(だいじん)の異称。
※雑俳・智慧くらべ(1868)「シテシテ様子は・官の御短慮聞く牽頭(たいこもち)」
② 特に、大坂の遊郭で、たいこもちの異称。〔随筆・羇旅漫録(1802)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の官の言及
【官僚制】より
…官僚制ということばは多義的で,能率的な組織をさすこともあれば逆に組織の非能率をさすこともあり,また専門官吏による行政をさすこともあればこれら専門官吏が権力を掌握している状態をさすこともある。これは官僚制現象自体の動的な性格,構造によるもので,この点を理解すればその意味を整合的に説明することも困難ではない。…
【胥吏】より
…中国,とくに唐・宋以後官僚機構を実際に支えた事務処理者の総称。〈胥〉とは《周礼(しゆらい)》では庶人が官司に出て使役される者をいう。…
【宋】より
…つづく太宗は,太祖の諸政策を継承するとともに,さらにいっそう強化して,宋朝の基盤をかためた。なかんずく,科挙の門をひろげて大量の知識人層を官僚に登用したことは,士大夫階級が政治,社会の指導層として進出する道を開くことになった。 宋朝は中国統一によって国内の平和と繁栄をもたらしたが,対外的にはつねに周辺の新興国家の圧迫をうけた。…
【中国】より
…
[政治機構――封建と郡県]
中国の文明はしばしばローマのそれにくらべられ,政治的文明と称せられる。たしかに両者は,多くの少数民族をも含む非常な広域,いわゆる〈天下〉が,中央政府より派遣する官吏によって統一的に統治せられた点で似ている。しかし中国の場合は周囲に先行する高度の文明をもたず,いわば独力で,すこぶる整備した政治機構を作りあげたのである。…
※「官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」