定書(読み)サダメガキ

デジタル大辞泉 「定書」の意味・読み・例文・類語

さだめ‐がき【定書】

江戸時代幕府諸藩が出した法令規則。また、それを「定書」または「定」と題して記し掲示したもの。法度書はっとがき。おさだめがき
商店などで規則または商品種類価格などの箇条を記し掲示したもの。
「とかく梵悩ぼんなう火の用心は、湯屋の―に似たり」〈滑・浮世風呂・前〉

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精選版 日本国語大辞典 「定書」の意味・読み・例文・類語

さだめ‐がき【定書】

〘名〙
① 江戸時代、幕府が発した規約または法令を記したもの。「定書」あるいは「定」と題して書面に記し、また、制札などに記して掲示した。法度書(はっとがき)。おさだめがき。条目。
※和簡礼経(1596‐1624頃)八「一、定書事。物の品を分て、善悪を取交て書之〈略〉是は板にも書、紙にも書之、掟の心のあさきを申候也」
質屋、湯屋などの店頭に、板、紙をもって掲げられた規則書。
御触書寛保集成‐三六・元祿五年(1692)一一月「一、重て質屋可仕と存候者は、〈略〉定書看板ともに請取可申候」
米屋酒屋、薬種屋その他商店に掲示された書きもの。商品の種類、分量とその価格などを記したもの。張札(はりふだ)
[語誌]①の掟や禁止事項を通知するための文書は、鎌倉時代から木札として町の辻など目立つところに立てられるようになった。室町時代以降になると一定のスタイルを持ち、おおむね前半が禁止事項の箇条書き、後半は違反した場合の処罰を記載するのが一般的となった。江戸時代には「禁札」「制符」などとも呼ばれ、「法令」と同義に使われた。

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世界大百科事典(旧版)内の定書の言及

【掟書】より

…中には豊臣秀吉のものにあるように全国を対象とし,充所のないものもある。定書との差は,〈掟の心のあさきを申候也〉(《和簡礼経》)とあるが,判然としない。【加藤 秀幸】。…

※「定書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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