定比例の法則(読み)テイヒレイノホウソク(英語表記)law of definite proportions

デジタル大辞泉 「定比例の法則」の意味・読み・例文・類語

ていひれい‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【定比例の法則】

化合物の成分元素質量比は常に一定であるという法則。1799年、J=L=プルースト発見。この法則に従うものは定比化合物、従わないものは不定比化合物とよばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定比例の法則」の意味・わかりやすい解説

定比例の法則
ていひれいのほうそく
law of definite proportions

「化合物の中では、成分元素の質量比はつねに一定である」という法則。1799年、フランスのJ・L・プルーストによって提出されたものである。ある化合物についてみると、成分元素の質量比は、製法や産出地などによらずつねに一定になるという。化合物の化学組成、あるいは化学変化における物質の数量的関係を対象とするのは化学量論(ストイキオメトリー)である。たとえば、水では水素酸素の質量比は1対8(厳密には1対7.9396)である。

 定比例の法則は提案された当時、激しい反対にあったことは有名である。反対の急先鋒(せんぽう)は、当時のフランス化学会の長老、C・L・ベルトレであった。このために定比例の法則に合致しない化合物、たとえば磁硫鉄鉱などを称してべルトライドというようになった。

山崎 昶]

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改訂新版 世界大百科事典 「定比例の法則」の意味・わかりやすい解説

定比例の法則 (ていひれいのほうそく)
law of definite proportions

一つの化合物に含まれる成分元素の質量の比はつねに一定であるという法則で,1799年J.L.プルーストにより見いだされた。この法則が成り立つのは,原子量の一定な成分元素がつねに一定の原子数の比で化合物をつくるからである。たとえば,水を構成している水素と酸素の質量比が1.008:8.00になるのは,原子量1.008の水素原子と原子量16.00の酸素原子が,つねに2:1の割合で結合して水ができるからである。

 天然における同位体の存在比が変動して見かけの原子量が変わると,化合物の成分元素の質量の比が変わることがあるが,このとき結合する原子数の比は変わらない。また,固体の化合物のなかには定比例の法則からずれる,いわゆる不定比化合物がある。
非化学量論的化合物
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百科事典マイペディア 「定比例の法則」の意味・わかりやすい解説

定比例の法則【ていひれいのほうそく】

一つの化合物中で成分元素の質量比は常に一定であるという法則。1799年J.L.プルーストが発見。たとえば,水素と酸素とが化合してできる水は,常にその質量比が1:8(厳密には1:7.9366)である。現在この法則に従わない化合物が多く見いだされているが,それらは非化学量論的化合物または不定比化合物などと呼ばれる。
→関連項目ドルトンの法則プルースト

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定比例の法則」の意味・わかりやすい解説

定比例の法則
ていひれいのほうそく
law of definite proportion

1つの化合物の成分元素の質量比は常に一定であるという法則で,1799年 J.L.プルーストが発見した。たとえば水は常に水素と酸素が一定の質量比1:8で構成されている。この法則はのちに J.ドールトン原子説によって説明されたので,ときによってはドールトンの法則とも呼ばれる。ただし遷移金属の酸化物硫化物などには不定比のものも数多く見出されている。そのおもな理由は不完全な結晶構造によるものであり,その結果,着色したり,半導体強誘電体としての性質を示すものが多い。

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化学辞典 第2版 「定比例の法則」の解説

定比例の法則
テイヒレイノホウソク
law of definite proportion

一つの化合物を構成する成分元素の質量比は,つねに一定であるという法則.J.L. Proust(プルースト)(1799年)によって見いだされた.化学の基本的法則の一つであるが,絶対的なものではない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「定比例の法則」の解説

定比例の法則【law of constant proportions,law of definit proportions】

一つの化合物を構成する成分元素の比は常に一定である.発見者の名に因んでプルーストの法則*ともいう.

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