宛書(読み)アテガキ

デジタル大辞泉 「宛書」の意味・読み・例文・類語

あて‐がき【宛書(き)/充て書(き)】

封書・葉書などの表に記す相手住所および氏名宛名上書き
古文書で、文書末尾または書き出しに書かれた相手の名。あてどころ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「宛書」の意味・わかりやすい解説

宛書 (あてがき)

宛所ともいう。また〈宛〉は〈充〉の字も用いる。文書には必ず差出人と受取人があるが,その中の受取人を示す部分が宛書である。公式様文書の中の下達文書,互通文書では〈太政官符 民部省〉のごとく宛書は文書の第1行に書かれたが,宛先の明白な上達文書では,宛書はない。公家様文書でも,弁官下文,院庁下文など下文(くだしぶみ)系統の文書では宛書が初行に書かれる。これに対し一般書状や書状形式の綸旨りんじ),院宣,御教書(みぎようしよ)の類では,宛書は最末行に書かれる。宛書は個人あてのときは,直接その氏名を書かず,その人の官職や位階などで表現する場合もあり,差出人と受取人の身分の差に応じて,宛名の上に上所(あげどころ)といって進上,謹上などの文字を,また宛名の下に殿,様,館などの敬称を,宛名の脇に参(まいる),人々御中,侍史,机下などの脇付(わきづけ)を書くこともある。この上所から脇付までを総称したものが宛書である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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