宝満山(読み)ほうまんざん

日本歴史地名大系 「宝満山」の解説

宝満山
ほうまんざん

太宰府市北東、筑紫野市・糟屋かすや宇美うみ町との境にある山、標高八六八・七メートル。竈門かまど山とよばれ、また御笠みかさ山ともよばれた(続風土記)。鎌倉時代後期に書かれた竈門宝満大菩薩記(神奈川県金沢文庫蔵)には、竈門山の名称の由来について、もとは仏頭山、御笠山といわれていたが、神功皇后が出産したとき妣大宝満命がこの山に登り竈門を立てたことから竈門山と号するようになったと記される。また「続風土記」ではこの山がカマドのような形をしていて、常に雲霧が絶えないことが煮炊きをして煙が立上るようにみえるので竈門山というと記されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宝満山」の意味・わかりやすい解説

宝満山
ほうまんざん

福岡県中部、太宰府市(だざいふし)と筑紫野市(ちくしのし)および糟屋(かすや)郡宇美町(うみまち)の境にある山。竈門山(かまどやま)ともいう。古代は御笠山(みかさやま)と称された。三郡山地(さんぐんさんち)南部の山で標高869メートル。おもに花崗(かこう)岩からなり、山頂一帯は岩壁となる。県内では英彦山(ひこさん)、求菩提(くぼて)山と並ぶ修験道(しゅげんどう)の霊場として栄え、盛時は僧坊370余を有したが、現在は遺跡が残るのみである。国の史跡指定され、山麓(さんろく)に664年(天智天皇3)創建されたといわれる竈門神社、山頂に上宮がある。山頂からの展望がよく、参道は九州自然歩道として多くの登山客でにぎわい太宰府県立自然公園に属する。山頂一帯はロック・クライミングの練習場として知られる。太宰府天満宮から山頂まで徒歩約2時間。

[石黒正紀]

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百科事典マイペディア 「宝満山」の意味・わかりやすい解説

宝満山【ほうまんざん】

福岡市の南東約15kmにある山。竈門(かまど)山,御笠山とも。7世紀末,心蓮が宝仲寺を建て,役(えん)の行者が入山して修験(しゅげん)の基をつくったと伝え,英彦(ひこ)山系の天台本山派の修験道の霊場として栄えた。一時は僧房370余といわれたが,維新後の神仏分離で破却され,現在は山頂に竈門神社を残す。

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事典・日本の観光資源 「宝満山」の解説

宝満山

(福岡県筑紫野市・太宰府市)
21世紀に残したい日本の自然100選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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