実況見分(読み)ジッキョウケンブン

デジタル大辞泉 「実況見分」の意味・読み・例文・類語

じっきょう‐けんぶん〔ジツキヤウ‐〕【実況見分】

犯罪捜査における検証うち関係者の任意の承諾を得て行われるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「実況見分」の意味・読み・例文・類語

じっきょう‐けんぶん ジッキャウ‥【実況見分】

〘名〙 犯罪捜査で、犯罪の行なわれた場所犯行に使われた物などについての確認。関係者の任意承諾を得て行なう。

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改訂新版 世界大百科事典 「実況見分」の意味・わかりやすい解説

実況見分 (じっきょうけんぶん)

捜査機関が一定の場所や物の状態を五官作用で認識する活動のうち,場所や物の所有者,所持者の承諾を得て任意捜査として行われる場合をいう。その実質的内容は,刑事訴訟法上強制捜査として令状により行われる検証と同じである。捜査実務では,検証よりもひんぱんに行われており,とくに交通事故による業務上過失致死傷事件では,実況見分は不可欠の捜査方法である。実況見分の結果は実況見分調書に記載されるが,最近では調書の簡易化により効率の向上を図るとともに,ステレオカメラや図化機など各種機器の使用によって正確性が高められている。調書には写真や図面などが添付されることが多い。実況見分調書の証拠能力については,明文規定がないが,最高裁判所は,捜査機関の行った検証の結果を記載した書面に関する規定(刑事訴訟法321条3項)が適用され,伝聞証拠の例外として採用できると解しており,裁判実務もこれに従っている。しかし学説には賛否両論がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「実況見分」の意味・わかりやすい解説

実況見分
じっきょうけんぶん

捜査機関が,犯罪捜査の過程任意処分として行なう,場所,物または人についてその形状を感知することを内容とする処分 (犯罪捜査規範=昭和 32年国家公安委員会規則第2号) 。強制処分としての検証 (刑事訴訟法) に対応するが,任意処分であるので裁判官の令状を要しない。実況見分の結果作成された調書は,捜査機関による検証調書同様,その作成者が公判期日に証人として尋問を受け,その真正な作成を確証したときは,これを証拠とすることができるというのが判例であるが,この解釈には学説上有力な批判がある。

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