宣命体(読み)せんみょうたい

精選版 日本国語大辞典 「宣命体」の意味・読み・例文・類語

せんみょう‐たい センミャウ‥【宣命体】

〘名〙 宣命書きを用いた文体。宣命小書体。
※文芸類纂(1878)〈榊原芳野編〉三「旧の言語を用ゐて、これを漢字にて綴り〈略〉後世これを宣命体と称す」

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デジタル大辞泉 「宣命体」の意味・読み・例文・類語

せんみょう‐たい〔センミヤウ‐〕【宣命体】

宣命書きで記す宣命祝詞の文体。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宣命体」の解説

宣命体
せんみょうたい

通常の大きさの文字と小書きされた文字を書き混ぜる記録形式。「続日本紀」のなかの宣命を書き記す際に顕著にみられるのでこの名がある。小書きされる文字は,活用語尾助詞助動詞などの付属語に多く,中心の概念を表す文字は通常の大きさに書かれるのがふつうであることから,文法上の弁別意識がみられるとする考えもあるが,漢文の記録形式との対比から区別がうまれたと考えるのが妥当。読みあげることを目的とした祝詞(のりと)・告文講式和讃(わさん)・歌謡などにみられ,すべてを同じ大きさの文字で書き表したときの読みにくさを除くためにうまれた方式であろう。最古文献は,正倉院文書の天平勝宝9年(757)の宣命案とされる。のちの「今昔物語集」などでも用いている。

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世界大百科事典(旧版)内の宣命体の言及

【宣命】より

の一形式。宣命はテニヲハに万葉仮名を用いるなど和文を漢字によって表記したもので,この文体を宣命体ともいう。現存する宣命で最も古いのは,《続日本紀》の文武天皇即位(697年)の宣命で,以後その例は数多い。…

【文語体】より

…文語体は,さらに多くの種類にわかれる。和文,和歌の文,宣命(せんみよう)体,漢文訓読文,和漢混淆(こんこう)文,変体漢文,普通文など。これらのうち,和文以下変体漢文までは,平安時代にすでにその形が整っており,以後現代にまで引き続き行われたものである。…

※「宣命体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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