宣明暦(読み)センミョウレキ

デジタル大辞泉 「宣明暦」の意味・読み・例文・類語

せんみょう‐れき〔センミヤウ‐〕【宣明暦】

中国、唐の徐昂じょこうが作った太陰太陽暦。中国では822年から71年間、日本では貞観3年(861)から貞享元年(1684)に貞享暦に改められるまで800年余りの間用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「宣明暦」の意味・読み・例文・類語

せんみょう‐れき センミャウ‥【宣明暦】

〘名〙 太陰太陽暦の一つ。唐の長慶二年(八二二)、徐昂(じょこう)の編修したもので、日本でも清和天皇の貞観四年(八六二)から、渋川春海の貞享暦が採用された貞享元年(一六八四)まで八二三年間にわたって行なわれた。
三代格‐一七・貞観三年(861)六月一六日「去貞観元年渤海大使烏孝慎新貢長慶宣明暦経言」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宣明暦」の意味・わかりやすい解説

宣明暦
せんみょうれき

中国の暦法の一つ。唐代に徐昂(じょこう)がつくり、822年から71年間施行された。その用数は、太陽年が365.24464285日、朔望(さくぼう)月が29.53059523日で、日月食推算改良が加えられていた。日本には859年(貞観1)に伝来、861年、大春日朝臣真野麻呂(おおかすがのあそんまのまろ)の奏請で施行されることになり、1684年(貞享1)まで823年の長い間、用いられた。このような長期間の使用のため、暦の推算と実際の天象の間には相違が生じ、その差は2日にも及んだ。また暦に日食や月食が記してあっても実際にはおきなかったり、実際にはおきても暦に記載がないなど、天象との不一致が世人の注目するところとなり、1685年から渋川(しぶかわ)(保井(やすい))春海(はるみ)のつくった「貞享(じょうきょう)暦」が採用施行されることになった。

[渡辺敏夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「宣明暦」の意味・わかりやすい解説

宣明暦 (せんみょうれき)
Xuān míng lì

中国,唐代の822年(長慶2)に徐昂が作ったとされる暦法。太陰太陽暦。1年を365日+2055/8400日,1月を29日+4457/8400日とし,日月食計算に新しい工夫を施した暦で,唐代の暦法としては大衍(だいえん)暦とならぶ優れたものであり,71年間にわたって用いられた。日本には859年(貞観1)渤海使節の来朝のときに伝えられ,2年間の試用の後,862年から1684年(貞享1)まで823年間も使用された。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宣明暦」の解説

宣明暦
せんみょうれき

中国唐の徐昂(じょこう)の編纂した暦法で,唐では822年から892年まで71年間使用された。大衍暦(だいえんれき)以後の最もすぐれた暦法とされ,とくに日食・月食の予報進歩がみられた。ただし1太陽年を365.2446日としたために,800年間に2日の誤差を生じた。日本へは859年(貞観元)に渤海大使烏孝慎(うこうしん)がもたらした。861年陰陽頭暦博士大春日真野麻呂(まのまろ)が採用を申請,翌862年から江戸初期の1684年(貞享元)まで,823年間にわたって使用された。現存する具注暦(ぐちゅうれき)や仮名暦大半はこの暦法によるものであり,中世以来の各地の地方暦は宣明暦の立成(数表)によって作成された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宣明暦」の意味・わかりやすい解説

宣明暦
せんみょうれき

中国,唐代の天文学者徐昂によってつくられた暦法。長慶2 (822) 年に採用され翌年から 71年間行われた。唐代の暦法としては大衍暦 (たいえんれき) と並ぶすぐれた暦法であったといわれる。日本には,貞観1 (859) 年渤海大使馬孝慎によって伝えられ,暦博士大春日真野麻呂が2年間これを検討し,同4年から施行した。貞享1 (1684) 年までの 823年間にわたって使用され,翌2年貞享暦に代った。

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旺文社日本史事典 三訂版 「宣明暦」の解説

宣明暦
せんみょうれき

中国,唐の徐昂 (じよこう) がつくった太陰暦
ほぼ大衍 (だいえん) の旧暦による。平安前期の伝来以来,江戸時代の貞享 (じようきよう) 暦に代わるまで,約800年間使用された。

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世界大百科事典(旧版)内の宣明暦の言及

【暦】より

…これを破章法という。儀鳳暦についで大衍(たいえん)暦,五紀(ごき)暦,宣明(せんみよう)暦と唐で施行された暦法が次々と輸入され施行された。世に,これを〈漢暦五伝〉と呼ぶ。…

※「宣明暦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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