家忠日記(読み)いえただにっき

改訂新版 世界大百科事典 「家忠日記」の意味・わかりやすい解説

家忠日記 (いえただにっき)

徳川家康の臣松平家忠身辺におこった日常的なできごとを簡潔に記した日記で,1577-94年(天正5-文禄3)に及ぶ。5ヵ国領有時代,関東入部後の徳川氏発展家康信長秀吉に関することなど重要な記事が多い。成立年代は不詳だが,家忠は1600年(慶長5)伏見城戦死別称は《秘本深溝日記》《参州日記》。この時期の徳川氏の発展を知る良質の史料。《続史料大成所収
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家忠日記」の意味・わかりやすい解説

家忠日記
いえただにっき

松平家忠が徳川家康の側近として仕えた天正5 (1577) 年から文禄3 (1594) 年までを記した日記。7巻。家康をはじめ諸大名の動きや当時の武士の生活を詳しく記録する。国立公文書館そのほかに諸本が伝わる。刊本は『文科大学史誌叢書』所収。ほかに家忠の孫忠冬が編纂した『家忠日記増補追加』 (25巻) があるが,これは『家忠日記』を根本として,文禄3年以前を増補し,慶長1 (1596) 年以降を追加して家康の死んだ元和2 (1616) 年までを記す。徳川氏の創業関係史実をまとめたものとしては最初のものであるが,『家忠日記』と比較して,史料的には価値が希薄である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「家忠日記」の意味・わかりやすい解説

家忠日記
いえただにっき

徳川家康に近侍した三河(愛知県)深溝(ふこうず)の松平家忠(1555―1600)が日々記述した日次記(ひなみき)。1577年(天正5)10月から1594年(文禄3)9月まで18年間、7冊が現存している。武将の日記として貴重であり、安土(あづち)桃山時代に関する基礎史料の一つである。家忠の経歴からして、家康はもちろん織田信長豊臣(とよとみ)秀吉らの軍事行動などが知られるばかりでなく、当時の武将の教養、趣味なども家忠の生活を通して知ることができる。

[林 亮勝]

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