家鴨・鶩(読み)あひる

精選版 日本国語大辞典 「家鴨・鶩」の意味・読み・例文・類語

あひる【家鴨・鶩】

〘名〙
カモ科の家禽。マガモを家禽化したもので種類が多いが、普通見られるのはアオクビと色の白いペキンアヒルなどである。脂肪が多く、カモに似た形で食用とする。足が短く、不格好な姿で、飛べない。あひろ。
※雲形本狂言・縄綯(室町末‐近世初)「後ろすがたをつくづくと見てゐましたれば、あひるのありく様にゑたゑたゑたゑたと」
② 背が低くて尻が大きく、アヒルのような不格好な者の意で、あざけっていうことば。多く下女をいう。
雑俳・へらず口(不及子編)(1734)「家鶏(アヒル)まで鶴のかうがひ鴎髩(かもめづと)
③ 江戸深川の七つの岡場所のうち、佃島(つくだじま)にあった私娼窟。また、そこの私娼。上総国(千葉県)畦蒜(あひる)郡の女が江戸佃島に移って来て船頭相手に商売したからとも、揚銭の少ないのを「銭(あし)短し」といったからともいい、その他諸説がある。
洒落本・禁現大福帳(1755)一「今の世の色事人(いろし)家鴨(アヒル)と化名(あだな)呼ぶも能らんか」
④ 尻の大きい女。安産だといわれる。
※雑俳・長ふくべ(1731)「家鴨にはとり上げばばも塩がない」
⑤ (「乙」の字形がアヒルに似ているところから) 成績が「乙」であること。
⑥ (duck の訳語) 軍隊で、水陸両用に使う軍用トラック。上陸作戦などに使用することが多い。
人力車一種
※東京開化繁昌誌(1874)〈高見沢茂〉二「人智進歩し、其巧を逞し、其製を換ふ、三輪と云ひ、家鴨(アヒル)と云ひ、双乗(ににんのり)と云ひ、何と曰ひ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android