寄生蜂(読み)やどりばち(英語表記)parasitic wasp

精選版 日本国語大辞典 「寄生蜂」の意味・読み・例文・類語

やどり‐ばち【寄生蜂】

〘名〙 ハチ(膜翅)目に属し、幼虫が他の昆虫の幼虫に寄生するハチの総称種類はきわめて多く、分類上ではヒメバチ科・コマユバチ科などに属する。農林・園芸上の重要害虫に対して有力な天敵となる種が多いが、害虫となるものもある。きせいほう。きせいばち。

きせい‐ばち【寄生蜂】

〘名〙 幼虫が他の昆虫やその幼虫、卵に寄生するハチの総称。タマゴバチ、ヒメバチ、アナバチなど種類はきわめて多い。宿主の天敵となるものは害虫の駆除にも利用される。きせいほう。

きせい‐ほう【寄生蜂】

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デジタル大辞泉 「寄生蜂」の意味・読み・例文・類語

きせい‐ばち【寄生蜂】

ハチのうち、他の昆虫やその卵に産卵し、卵からかえった幼虫がそれを食べて成長するもの。タマバチコバチヒメバチコマユバチツチバチなど。害虫の天敵として重要。やどりばち。きせいほう。

やどり‐ばち【寄生蜂】

きせいばち(寄生蜂)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寄生蜂」の意味・わかりやすい解説

寄生蜂
きせいばち
parasitic wasp

膜翅類に属する昆虫のうち,雌バチが他の昆虫類,クモなどに直接または間接に卵を産みつけ,孵化した幼虫が宿主を食べて育つものをいう。この場合,ハチの幼虫は宿主の筋肉や脂肪などを食べ,結局は宿主を食い殺してしまうので,一般の寄生とは区別して捕食寄生と呼ぶ。膜翅類のうち大多数が寄生蜂であると考えられ,コバチヒメバチヤセバチタマバチアリガタバチツチバチ(いずれも上科のレベル)などによって代表される。このうちコバチ上科には植物の種子などに寄生するものがあり,タマバチ上科の大部分の種は植物に寄生して虫癭(ちゅうえい)をつくる。
寄生蜂の種類によってその宿主の種類と態は決まっており,卵につくもの,幼虫につくもの,成虫の雌だけを選ぶものなどがある。なかには,すでに他の昆虫類に寄生している寄生蜂の幼虫に寄生する(重寄生という)ものもある。また宿主の体内に産み込んだ卵が分裂して 1個の卵が数個~数千個の胚を生じる,いわゆる多胚形成の例も知られていて,トビコバチに多くみられる。ほかには,産卵の際に宿主を刺して一時的に麻痺させる,いわゆる狩人蜂への移行段階のものや,スズメバチ,ジガバチ,ミツバチ,ベッコウバチ(いずれも上科のレベル)の仲間のように,近縁の属(まれに種)の巣に侵入してその卵を破壊し,蓄えられている食物に産卵する労働寄生蜂と呼ばれる種類もある。さらに進んだものとしては,社会寄生蜂がある。このハチの仲間は職蜂を欠き,女王は職蜂をもつ近縁のハチの巣に侵入して自分の子供の哺育をさせる。これにはマルハナバチヤドリ類,ヤドリスズメバチ類,ヤドリアシナガバチ類などが含まれる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「寄生蜂」の解説

寄生蜂 (ヤドリバチ)

動物膜翅目の昆虫のうち,他の昆虫などに寄生するハチ類の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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