寄親(読み)よりおや

精選版 日本国語大辞典 「寄親」の意味・読み・例文・類語

より‐おや【寄親】

〘名〙
① 主従関係・保護関係を結んでいる者を親子関係になぞらえて、その主人・保護者をいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 戦国時代後期、大名家臣団を統制するために設けた擬制的な親子関係。また、その関係で親にあたる者。戦国大名は有力な武将を寄親として軍事組織を編成した。
※甲州法度之次第‐二六箇条本(1547)一四条「無意趣而乖寄親事、可止之
近世奉公人の身元引受人。⇔寄子(よりこ)
※虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初)「かたかたをよりおや殿とたのみまらする程に」
江戸時代の劇場で、鬘師(かつらし)親方の称。板人(いたにん)
※劇場新話(1804‐09頃)上「座頭女形に附しかつら師は、寄親といひて」

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デジタル大辞泉 「寄親」の意味・読み・例文・類語

より‐おや【寄親】

主従関係などを結んでいる者を親子関係に擬して、その主をいう語。特に、戦国大名は有力な武将を寄親とし、在地土豪などを寄子よりことして軍事組織を編制した。
江戸時代、奉公人の身元保証人

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「寄親」の解説

寄親
よりおや

擬制的な血縁関係によって従者・被保護者を指揮・統制する者。ある者に身を寄せ,庇護されるという場合には,奈良時代の寄口(きこう),平安時代の寄人(よりうど)などのように,「寄」が使用された。鎌倉時代には,武士・在地領主層が惣領制にもとづく武士団において,血縁関係のない武士を惣領が武士団内部の指揮系統下にとりこむようになる。庶子と同様な所当公事(しょとうくじ)を割り当てる際,擬制的な血縁関係すなわち惣領が親,被庇護者が子という関係をとるのを,寄親・寄子といった。南北朝動乱後の室町時代,各地の諸領主が従者や被官人を指揮・支配する場合にも,寄親としての関係が用いられ,戦国期には戦国大名の家臣団組織において,寄親は指南(しなん)・奏者とよばれた。

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