密閉形変電所(読み)みっぺいがたへんでんしょ

改訂新版 世界大百科事典 「密閉形変電所」の意味・わかりやすい解説

密閉形変電所 (みっぺいがたへんでんしょ)

密閉変電所は,変圧器を除く部分を対象として,密閉形開閉装置と呼ばれることもある。空気の代りに,エポキシ樹脂などの固体,油,六フッ化硫黄ガスSF6のいずれかを用いて高電圧部分を絶縁する変電所。油とガスの場合は,高電圧部分を保持するための固体絶縁物もつねに必要である。六フッ化硫黄ガスを用いるガス絶縁変電所は2種類あり,キュービクルと呼ばれる箱形の容器に遮断器,断路器,母線などの機器を一括して収納し,大気圧より少し高いガス圧で絶縁するキュービクル形と,各機器を別々に数atmのガス圧で絶縁する形式とがある。

 固体絶縁は3.3kVから22kVの低電圧階級,油絶縁,キュービクル形ガス絶縁は主として66kVから77kVの中電圧クラス,その他のガス絶縁変電所は66~77kVから500kVクラスの高電圧領域まで広く用いられる。密閉形変電所は,大気より優れた絶縁物を使用すること,大気雰囲気の影響を受けないことなどから小型になる。また密閉によって,安全性,信頼性の向上などの利点が生ずる。日本での最初の利用は,固体絶縁,ガス絶縁が1968,69年ころ,油絶縁は74年,キュービクル形ガス絶縁は82年である。ガス絶縁変電所は1973年に電圧500kV級が実用に供され,上述のような利点,特に変電所の用地費の高騰に対処するために各電圧階級での利用が急速に進展した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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