将を射んと欲すればまず馬を射よ(読み)しょうをいんとほっすればまずうまをいよ

精選版 日本国語大辞典 の解説

しょう【将】 を 射(い)んと欲(ほっ)すればまず馬(うま)を射(い)

大きなもの、主となるものを攻撃したり、また手に入れようとしたりするとき、直接そのものをねらうより、その周囲にあるものをまずねらうのがよいというたとえ。人を射んとせばまず馬を射よ。
※めし(1951)〈林芙美子〉妻は何で生きるか「将を射るには、まず、馬から、いうて、竹中はんに、なんぞ、岡本はんから、頼んで貰いたいことおまんねんやろなァ」

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ことわざを知る辞典 の解説

将を射んと欲すればまず馬を射よ

敵の大将を射止めようとするときは、先にその乗馬を射るがよい。目標をさだめて攻撃したり、わがものにしようとするときは、直接ねらうのではなく、まず周囲のものに打撃を与えたり、味方につけたりするのが上策であるというたとえ。

[使用例] 君よりも先輩の画家で、巴里で一緒だった多田三吉が細君をもらう時、「将を射んと欲すれば先ずその馬を射よ」の筆法で、その母に気に入られ[志賀直哉*蝕まれた友情|1947]

[解説] 軍事的な戦術としては、古くからどこの国にでもある発想でしょう。杜甫の詩「前出塞」には「人を射るに先ず馬を射て、敵をとりこにするに先ず王を擒にす」とあります。ことわざは、これを他の領域にも広く応用し、相手を意のままにする策としてとらえています。

英語〕He that would the daughter win, must with the mother first begin.(娘を得んとすれば、母親から始めねばならぬ)

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故事成語を知る辞典 の解説

将を射んと欲すればまず馬を射よ

何かを手に入れようとするときは、まずは周囲から狙っていくのが上策であることのたとえ。

[使用例] 君よりも先輩の画家で、巴里で一緒だった多田三吉が細君を貰う時、「将を射んと欲すればずその馬を射よ」の筆法で、その母に気に入られ[志賀直哉*蝕まれた友情|1947]

[由来] 八世紀、唐王朝の時代の中国の詩人の詩の一節から。国境地帯に戦いに赴く兵士の気持ちを代弁して、「人を射るには先ず馬を射よ、敵をとりこにするには先ず王を擒にせよ(武将を射殺そうとするなら、まずその乗馬を射よう、敵兵を捕虜にするなら、真っ先に王を捕虜にしよう)」とうたっています。

〔異形〕人を射んと欲すればまず馬を射よ。

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