将軍万福(読み)しょうぐんまんぷく

改訂新版 世界大百科事典 「将軍万福」の意味・わかりやすい解説

将軍万福 (しょうぐんまんぷく)

奈良時代仏師。733年(天平5)から734年にかけて,光明皇后が母橘三千代の菩提のために造営した興福寺西金堂の乾漆像,本尊丈六釈迦三尊,羅漢(十大弟子)10軀,羅睺羅(らごら),梵天帝釈天,四天王4軀,八部神王(八部衆)8軀,獅子2軀,菩提樹2根,宝頂天蓋1具,金鼓を打つ波羅門などの造像に当たった人物として,正倉院文書〈造物所作物帳〉に仏師将軍万福,画師秦牛養などの名が見られ,そのうち十大弟子,八部衆の大部分が現存している。将軍万福については他に記録が見られないが,《日本書紀》欽明天皇15年2月の条に〈百済の下部杆率(かほうかんそち),将軍三貴〉なる人物の名があり,万福もまたこれに関係ある渡来人と思われる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「将軍万福」の解説

将軍万福 しょうぐん-まんぷく

?-? 奈良時代の仏師。
天平(てんぴょう)6年(734)光明皇后が母の県犬養三千代(あがたのいぬかいの-みちよ)の一周忌に造営した興福寺西金堂諸像の作者として正倉院文書にその名がみえる。現存する十大弟子像,八部衆像は万福の作とかんがえられる。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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