小さき花(読み)ちいさきはな

改訂新版 世界大百科事典 「小さき花」の意味・わかりやすい解説

小さき花 (ちいさきはな)

フランスの神秘思想家テレーズ・ド・リジュー自叙伝。正式の書名は《ある霊魂物語Histoire d'une âme》。内容は1895年,修道女テレーズが修院長である姉ポリナの求めに応じて幼時の思い出を記した第1部(1~8章),97年修院長ゴンザグのマリア修道女にあてて,信仰生活や内心の戦いについてのべた第2部(9~10章),長姉マリアのために,〈小さき道〉という名称で知られるようになったテレーズ独特の信仰生活の秘訣について解説した第3部(11章)からなり,テレーズの修道院での生活,言動臨終のようすなどを目撃者の証言によってつづった1章が付加されている。少女の繊細な情感と,成熟した神秘思想家の洞察とをかね備えた宗教文学の古典的作品。
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百科事典マイペディア 「小さき花」の意味・わかりやすい解説

小さき花【ちいさきはな】

フランスの聖女テレーズ・ド・リジューの自叙伝の通称で,正式の表題は《ある霊魂の物語》。幼時の回想,修道院での信仰生活,作者言行にまつわる遺族の証言などからなり,1898年の刊行以来,世界的に愛読されている。

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世界大百科事典(旧版)内の小さき花の言及

【テレーズ・ド・リジュー】より

…外面的にはなんら目だたない祈りと観想の生活を送り,みずから〈小さき道〉と呼んだ,幼子の単純さと,英雄的な犠牲の甘受が一体となった信心に徹する。死後に公表された自叙伝《小さき花》は全世界で大きな感動を呼んだ。1925年列聖。…

※「小さき花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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