小侍所(読み)コザムライドコロ

デジタル大辞泉 「小侍所」の意味・読み・例文・類語

こざむらい‐どころ〔こざむらひ‐〕【小侍所】

鎌倉幕府職名幕府宿直し、将軍に随行して警護に当たる役。承久元年(1219)設置長官別当)には北条一族を任じた。
室町幕府の職名。1に倣って設けられたもの。長官は所司とよぶ。

こさぶらい‐どころ〔こさぶらひ‐〕【小侍所】

こざむらいどころ

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精選版 日本国語大辞典 「小侍所」の意味・読み・例文・類語

こざむらい‐どころ こざむらひ‥【小侍所】

〘名〙
鎌倉幕府の職名。幕府に宿直し、将軍に供奉し警護する役。この職掌はもと侍所の管掌するところであったが、承久元年(一二一九)小侍所を設置して移した。長官(別当)には北条氏一族を任じ、その下に所司、朝夕雑色(雑役駆使の役)、走衆、恪勤(かくご)などがいた。
吾妻鏡‐嘉禎元年(1235)一〇月二日「相州、武州参御所、令小侍所給」
② 室町幕府の職名。①にならって設けられたもの。長官は所司(しょし)とよぶ。
※鹿苑院殿御元服記(14C末)「永和元年四月廿五日御参内始〈略〉今日被小侍所具朝夕畢」
※御的日記(1335)「建武二年正月七日〈左馬頭殿御鎌倉之時〉。御的 小侍所 渋野殿」
④ 室町時代、鎌倉府の職名。幕府のそれにならって置かれたもの。〔鎌倉殿中以下年中行事(1454か)〕

こさぶらい‐どころ こさぶらひ‥【小侍所】

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改訂新版 世界大百科事典 「小侍所」の意味・わかりやすい解説

小侍所 (こさむらいどころ)

鎌倉・室町幕府において,将軍に近侍,宿衛し,御所内の諸番役を統轄した機関。室町幕府の鎌倉府にも置かれた。源家三代将軍の時期には将軍が適宜に近臣を昼夜身辺に近侍させたが,1219年(承久1)に機関としてこれを置き,別当,所司などを定め,1日1夜の宿衛に当たる番衆や将軍出御の供奉人の選定などを行い,さらには近習番,格子番,問見参番(申次番)などに分化した御所内番を統轄する役割をも果たした。別当には,鎌倉幕府では北条氏の若手の有力者をあて,室町幕府では初期には高氏,上杉氏なども任じられたが,多くは山名氏と一門守護大名家の者がこれに当たった。番衆には,鎌倉時代には東国御家人のしかるべき家柄の者が選ばれ,室町時代には足利氏一門と有力守護大名家の子弟,有力国人領主と足利氏根本被官の家柄の者が選ばれており,手跡,弓馬,蹴鞠管絃などの芸能を身につけた者が少なくない。小侍所には番帳が備えられ,ここから将軍出御の供奉人や弓始の射手などが選ばれた。小侍の配下には,恪勤(かくご),走衆や朝夕雑色(ちようじやくぞうしき),公人(くにん)雑色などが属して雑役などを務めたと考えられる。義教・義政期に整えられる奉公衆番方)には小侍番の継承発展という性格が認められる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小侍所」の意味・わかりやすい解説

小侍所
こさむらいどころ

鎌倉,室町幕府の職名。職員は将軍に近習し,宿直や供奉をつとめた。承久1 (1219) 年設置。長官の別当に北条氏一族,補佐の所司にその被官を任命した。室町幕府では,所司が長官で,15世紀以降には三管領 (斯波,細川,畠山) の一族が就任した。 (→三管四職 )

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