小国(町)(熊本県)(読み)おぐに

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小国(町)(熊本県)」の意味・わかりやすい解説

小国(町)(熊本県)
おぐに

熊本県北部、阿蘇郡(あそぐん)にある町。1935年(昭和10)町制施行。全域、火山岩(新生代新第三紀および第四紀)、火山噴出物(第四紀)で覆われ、北に傾斜し、杖立(つえたて)川、北里川などの河川は合して、日田(ひた)盆地に流入し、筑後(ちくご)川となる。JR豊肥(ほうひ)本線阿蘇駅からバスが通じる。地形的な関係もあり、国鉄宮原(みやのはる)線(1984年廃線)、国道212号、387号などの主要交通網は大分県側から敷設され、現在もなお、大分県の日田地域との関係が強い。日田地域から連なるこの町のスギの育成林業は、御山(おやま)支配役の藩有地へのスギ苗植込みの強制(1751~1763)に端を発し、国有土地森林原野下戻法(1899)以降、一層の発展をみたものである。また古くから牛馬の放牧地として利用されていた入会(いりあい)原野も個人有、町有に移っていく過程で土地利用形態も草場、まぐさ場から、集落近くでは乳牛の牧場、それより外では和牛の牧場、最遠部ではスギ、クヌギの植林地に転換してきている。副業として導入されたシイタケ栽培ならびに乾燥シイタケ生産はいまや、主業の地位にある。杖立、はげの湯、山川などの温泉にも恵まれているほか下筌ダム(しもうけだむ)もある。ほかに国道442号も通じる。この町出身で世界的な細菌学者の北里柴三郎文庫遺品などを展示する北里柴三郎記念館がある。なお、御神幸行列の役職世襲で定められている小国両神社(おぐにりょうじんじゃ)の例祭は、いにしえの山村社会の姿をしのばせる。面積136.94平方キロメートル(一部境界未定)、人口6590(2020)。

[山口守人]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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