小城(市)(読み)おぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小城(市)」の意味・わかりやすい解説

小城(市)
おぎ

佐賀県中部にある市。2005年(平成17)、小城郡小城町、三日月町(みかづきちょう)、牛津町(うしづちょう)、芦刈町(あしかりちょう)が合併、市制施行して成立。北部は天山(てんざん)山系で、天山(1046メートル)、彦岳(ひこだけ)が連なる。中央部から南部には佐賀平野が広がり、南端は有明(ありあけ)海に面し、干潟を形成している。また市域を、天山山系に源を発した祇園(ぎおん)川、晴気(はるけ)川、牛津川が南流し、有明海に注いでいる。北部から中部を占める小城町地区と三日月町地区は古くから開発された地域で、弥生(やよい)期の遺跡である土生遺跡(はぶいせき)(国指定史跡)や久蘇遺跡(くしょいせき)などが残る。小城の地名は、『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』にある土蜘蛛(つちぐも)が防御に利用した「堡(おき)」(砦(とりで))に由来するといわれている。江戸時代には、桜岡(さくらおか)周辺地区に小城鍋島(なべしま)氏の館(やかた)が築かれ、小城藩の城下町として栄えた。中西部の牛津町は宿場町であり、小城藩の米蔵船着き場などができて河港としてもにぎわった。明治以降も商業の一中心地をなし、北部九州に展開する玉屋百貨店の発祥地でもある。南部の芦刈町は、町名にみられるようにアシの生い茂る干潟(ひがた)を開発した地で、六角(ろっかく)川河口付近には社搦(しゃがらみ)などの搦(からみ)名干拓地もつくられた。

 中南部をJR長崎本線と国道34号が、中北部をJR唐津(からつ)線と国道203号が並行して横断する。また中部を34号から分岐する207号、南部を444号が走る。平野部では米作が中心で、圃場(ほじょう)整備により、生産性の高い農業が行われている。野菜園芸、畜産もみられる。また北部の山麓(さんろく)においてはミカン栽培、南部の干拓地ではノリ養殖も行われている。特産品に「小城羊羹(ようかん)」がある。常福寺(じょうふくじ)の薬師如来坐像、帝釈天(たいしゃくてん)立像は国指定重要文化財。面積95.81平方キロメートル、人口4万3952(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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