小牧正英(読み)こまきまさひで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小牧正英」の意味・わかりやすい解説

小牧正英
こまきまさひで
(1911―2006)

舞踊家、振付師。本名菊池栄一岩手県生まれ。ハルビンで沢モリノ(1890―1933)にバレエを学び、1932年(昭和7)同地のバレエ学校に入学。1940~1946年「上海(シャンハイ)バレエ・リュス」に所属し、オードリー・キングAudrey King(1915―2003)に師事、『ペトルーシュカ』『シェヘラザード』に主演した。1946年(昭和21)に帰国して蘆原英了(あしはらえいりょう)(1907―1981)、東勇作(あずまゆうさく)らと東京バレエ団結成、同年8月、帝国劇場で本邦初演『白鳥の湖』の振付け、演出を担当。1947年に小牧バレエ団を創立。創作バレエ『受難』(1949)で芸術祭賞受賞。ノラ・ケイ、アンソニー・チューダー、マーゴ・フォンティンら多くの海外舞踊家を招聘(しょうへい)。谷桃子、笹本公江(きみえ)(1927― )、太刀川瑠璃子(たちかわるりこ)(1927―2008)、雑賀淑子(さいがとしこ)(1932― )、関直人(せきなおと)(1929―2019)、横井茂(1930―2017)らを育て、戦後バレエ界の隆盛に尽力した。

市川 雅・國吉和子]

『小牧正英著『バレエへの招待』(1980・日本放送出版協会)』『小牧正英著『劇場芸術への道――オペラ・バレエ・演劇を志す人のために』(1984・未来社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小牧正英」の意味・わかりやすい解説

小牧正英
こまきまさひで

[生]1914.4.18. 岩手,江刺
[没]2006.9.13. 東京
舞踊家,振付家。本名菊池栄一。 1934年ハルビン市音楽バレエ学校に入学,1940年上海バレエ・リュスに入団して活躍。 1946年に帰国して東京バレエ団を結成,『白鳥の湖』全幕を国内で初めて上演し話題をまいた。そののち『眠れる森の美女』などの古典バレエを次々に紹介し,バレエブームを生んだ。また門下谷桃子,関直人ら,日本バレエ界の今日をになう舞踊家を育成した。

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百科事典マイペディア 「小牧正英」の意味・わかりやすい解説

小牧正英【こまきまさひで】

舞踊家,振付家。岩手県生れ。ハルビンでバレエを学び,上海で活躍。引揚げのときに持ち帰ったバレエ音楽の楽譜をもとに,1946年帝国劇場で《白鳥の湖》全幕を振付・演出・主演して,日本初演。1947年東京に小牧バレエ団を結成。作品に《受難》など。
→関連項目谷桃子

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小牧正英」の解説

小牧正英 こまき-まさひで

1911-2006 昭和-平成時代の舞踊家。
明治44年9月25日生まれ。満州(中国東北部)のハルビン音楽バレエ学校でまなぶ。昭和15年上海バレエ・リュッス入団。21年東京バレエ団を結成,日本ではじめて「白鳥の湖」全幕を上演した。24年小牧バレエ団を創設,「コッペリア」「ジゼル」などの日本初演や創作バレエの上演に尽力した。平成18年9月13日死去。94歳。岩手県出身。目白商業卒。本名は菊池栄一。創作バレエに「日輪」「やまとへの道」など。

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世界大百科事典(旧版)内の小牧正英の言及

【バレエ】より

…松尾明美,松山樹子が育ち,東勇作も彼女から多くを学んだ。 バレエが盛んになったのは,第2次世界大戦後で,46年に上海から帰った小牧正英を迎えて東勇作,貝谷八百子,服部智恵子・島田広の各バレエ団の合同になる東京バレエ団が《白鳥の湖》4幕を上演してからである。この東京バレエ団は《ジゼル》《シエラザード》《コッペリア》《レ・シルフィード》などを上演して50年まで7回の公演を続けたが,各バレエ団の活動も活発になり,古典・近代のバレエ,創作バレエの出現を促した。…

※「小牧正英」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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