小節(読み)しょうせつ

精選版 日本国語大辞典 「小節」の意味・読み・例文・類語

しょう‐せつ セウ‥【小節】

〘名〙
① 全体の中の小さな事柄。また、わずかの節操。ちょっとした節義
徒然草(1331頃)一一二「一生は雑事の小節にさへられて、空しく暮れなん」
※浄瑠璃・平家女護島(1719)一「かやうのおとなげなき小節(セウセツ)に、詞もくはゆる能登の守にあらねども」 〔戦国策‐斉策・襄王〕
② 小さなふし。小さな区切れ。
楽曲拍節の一単位。楽譜で、縦線で区切った小部分。バー。タクト。〔音楽字典(1909)〕
檸檬(1925)〈梶井基次郎〉「最初の二三小節で不意に立ち上ってしまひたくなる」
④ 長編の歌謡の一節こぶし。小謡(こうたい)

こ‐ぶし【小節】

〘名〙
① 小さい節。特に、木の節の小さいもの。また、その節のある材木。小節材
※俳諧・犬子集(1633)一「出る目は柳の糸のこぶし哉〈正直〉」
② 鰹節(かつおぶし)の小さいもの。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
邦楽歌謡曲などで、微妙で装飾的な節回し(旋律)をいう。
空知川岸辺(1902)〈国木田独歩〉二「艷ある小節(コブシ)の歌の文句の腸を断つばかりなる、三絃調子嗚咽(むせぶ)が如き」

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デジタル大辞泉 「小節」の意味・読み・例文・類語

こ‐ぶし【小節】

木の節の小さいもの。
民謡・歌謡曲などで用いられる装飾的な発声技巧、およびそれによる細かい節回し。「小節をきかせた歌い方」
謡曲で、音尾につけられる装飾的な節回し。観世流で用いる。

しょう‐せつ〔セウ‐〕【小節】

文章などの、小さな区切り。
楽曲の拍子に基づいて、譜面の上で縦線と縦線とで区切られた部分。
《「節」は節操の意》ちょっとした義理。「小節にこだわって大義を忘れる」

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普及版 字通 「小節」の読み・字形・画数・意味

【小節】しよう(せう)せつ

ささやかな節義。〔戦国策、斉六〕吾(われ)聞く、小を傚(いた)すは、大威を行ふこと能はず。小恥を惡(にく)むは、榮名を立つること能はずと。

字通「小」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小節」の意味・わかりやすい解説

小節
こぶし

日本音楽の用語。「小曲節」とも書く。歌唱における装飾的な細かい節回しをいい,音尾に装飾音を伴う唱法および旋律をさす場合と,1シラブルの間の短い旋律のパターンをさす場合とあり,後者を小旋律型ということもある。豊後系浄瑠璃の種目の違いなどは,この小節の差によって特徴づけられる点もある。

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改訂新版 世界大百科事典 「小節」の意味・わかりやすい解説

小節 (しょうせつ)

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世界大百科事典(旧版)内の小節の言及

【繭】より

…その難易は,蚕品種や営繭時の気象条件によって異なる。(11)小節(こぶし) 繭層から繭糸をときほぐす際に繭糸に生ずるわ節(繭糸の一部が糸条から分離して環状となり,長さが10mm未満のもの),さけ節(糸条から分離した繭糸の一部が枝状となり,長さが10mm以上のもの),こぬか節(糸条にこぬかをつけたような外観をしているもの)などと呼ばれる小さな節の総称。蚕品種固有の性状の一つといわれる。…

【タクト】より

…元来は,音楽の拍,拍子,小節などを指す言葉。ラテン語による15~16世紀の音楽理論書では,時間的秩序の基本単位としてタクトゥスtactusという概念が用いられ,タクトの語源となった。…

【拍子】より

…それから,拍節的リズムの楽曲の規模を表示するために,〈拍子16〉など,拍子いくつといういい方がされる。これは,3種の打楽器(羯鼓(かつこ)または三ノ鼓と太鼓,鉦鼓(しようこ))が反復演奏するリズム型が何回奏されるかということであるが,そのリズム型は最終小節で太鼓の雄桴(おばち)(右手で革面の中央を強く打つ)が打たれるから,一曲中に打たれる太鼓の打音数と説明されることが多い。しかし,実際の演奏では,途中から加拍子(くわえびようし∥かひようし)の打ち方に変わり,太鼓の打音も拍子いくつと表示されている数より多くなってしまう。…

※「小節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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