小芝居(こしばい)(読み)こしばい

知恵蔵 「小芝居(こしばい)」の解説

小芝居(こしばい)

歌舞伎座などでの大芝居に対して、小規模の劇場やそこでの芝居をいう。今は存続していない。江戸幕府は中村座、市村座森田座の常設江戸三座に特権的な地位を与えて興行を許したが、これ以外の劇場で上演された歌舞伎を小芝居と総称。うち寺社地にあるものを宮芝居宮地芝居ともいう。晴天100日を限って興行が許されたから百日芝居、あるいは粗末な緞帳(どんちょう)を幕の上げ降ろしに使ったので緞帳芝居ともいわれた。回り舞台の設置は許されなかった。低料金で話題作を上演した。明治時代になり芝居鑑札制が設けられ、小芝居も鑑札を受けられるようになり全国で栄えた。しかし、第2次大戦後は少なくなり、かたばみ座を最後に東京から姿を消した。

(山本健一 演劇評論家 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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