小野神社(読み)おのじんじや

日本歴史地名大系 「小野神社」の解説

小野神社
おのじんじや

[現在地名]多摩市一ノ宮一丁目

多摩川河畔から二〇〇メートルほど南にある。祭神は天乃下春命を主神とし、相殿に伊弉那岐命・大己貴命・素盞嗚尊・瓊瓊杵尊・彦火火出見尊の五座が祀られている。「延喜式」神名帳に記される多磨たま郡「小野ヲノ神社」に比定される論社の一。神名帳では小社。「三代実録」元慶八年(八八四)七月一五日条に「授武蔵国(中略)従五位上小野神正五位上」とあり、この日に正五位上へ昇叙された。平安末期に至ると小野神社は武蔵国一宮とされた(神道集)。神名帳記載の小野神社に関し、当社とは別に有力な論社として多摩川を挟んだ北側、現府中市住吉すみよし町の小野神社があり、いずれを式内社小野神社とするか確証を欠く。多摩川はしばしば氾濫し河道を変えていることから、元来現府中市域にあった小野神社が、水災を被り南の当地へ移ったとする説もある。なお「大日本国一宮記」では、氷川神社(現埼玉県さいたま市)が武蔵国の一宮とされているが、「神道集」では同社は三宮とされており、氷川神社の一宮の称は戦国期をさかのぼり得ないと考えられる。

小野神社
おのじんじや

[現在地名]府中市元町 小野宮

栄明えいみよう寺の西方、字小野宮おのみやにある。祭神押媛命・吉備津武彦、旧村社。境内社総社そうじや神社ほかがある。元禄一三年(一七〇〇)の町村御検地水帳(広島大学蔵)に小野明神社の除地として、字シャウシャ山(総社山)山林二反二〇歩(社地)、字同山林五畝一九歩、字大日田五畝歩が記される。

「福山志料」は「小野大明神、通証云社地ニ総社明神ノ社アリ、コレ此処ノ地主ノ神ニシテ往古ヨリ此処ニ鎮座ナリ、今ノ本社小野明神ハ百年前此地ヘ移セシヨシ、小野明神ノ旧址ハ銀山路ヨリ東北ノ間平地ニシテ民家ノウラニアリ」とし、村人の口碑に、昔、伊勢の軍勢が出口の八尾山でぐちのやつおさん城を攻めたが敗走し、守護神を捨て置いて帰ったのを村人が小屋を作って祀ったので「コヤ明神」といい、その地は金龍きんりゆう寺の後ろの山で、そこを「イセヂ」とよぶという。

小野神社
おのじんじや

[現在地名]志賀町小野

和邇わに川が平野に出ようとする右岸山麓にある。祭神天足彦国押人あまたらしひこくにおしひと命・米餅搗大使主たがねつきおおおみ命・小野妹子。旧郷社。「延喜式」神名帳に滋賀郡「小野神社二座名神大」とある。小野妹子・篁・道風などを生んだ古代の名族小野氏の氏神推古天皇の代に小野妹子が先祖を祀って創建したと伝える。米餅搗大使主命は応神天皇の頃、日本で最初に餅をついた餅作りの始祖といわれ、現在ではお菓子の神様として信仰を集めている。

「続日本紀」宝亀三年(七七二)四月二九日条によれば、奈良西大寺の西塔が震動したのは、小野社の木を伐って造塔したことによる祟りと占いに出たため、当郡の戸二烟が寄進されている。

小野神社
おのじんじや

[現在地名]塩尻市北小野

塩尻市北小野にある古社で、南小野(現上伊那郡辰野町)矢彦神社と同一場所に境域を並べて鎮座している。祭神は諏訪大社と同じ健御名方命、信州二の宮と称される。

小野神社文書に「地間東西五九間、南北一町五四間、境内凡そ四〇〇坪」と記されている。地方の大社として知られる。社家も大祝・別当・禰宜・副祝・権祝・巫女など諏訪社同様の職制をもつ。慶長一〇年(一六〇五)小笠原秀政の社領寄進以来、歴代領主から一〇石の黒印が出されている(小野神社文書)

小野神社
おのじんじや

[現在地名]府中市住吉町三丁目

本宿ほんしゆく地域の南部、現中央自動車道南側にある。祭神は天下春命・瀬織津比売命。旧郷社。「延喜式」神名帳に記載される多磨たま郡の小社「小野ヲノ神社」の論社の一。「三代実録」元慶八年(八八四)七月一五日条に「授武蔵国(中略)従五位上小野神正五位上」とあり、この日に神階が従五位上から正五位上へ昇叙されている。当社の社地は多摩川畔から六〇〇メートルほど北に位置し、小字名が小野宮おののみやであり、式内社小野神社の鎮座地にかかわる地名となっている。

小野神社
おのじんじや

[現在地名]町田市小野路町

祭神は小野篁を祀る。旧村社。江戸時代の小野路おのじ宿の入口付近にあたる。創立年代は不明ながら、由緒によると、小野篁六代孫という武蔵守小野孝泰が武蔵国府中に国司として赴任、当地一帯が小野郷と称することから、篁が陸奥守として下向の節にこの地に一時とどまったと考え、篁の霊を祀り、小野明神を建てたという。

小野神社
おのじんじや

[現在地名]南国市岡豊町小蓮 宮ノ前

みやまえの丘陵上に鎮座する。祭神は天足彦国押人命。旧郷社。古くより岡豊おこう大明神とよばれ、小野の産土神であった。「延喜式」神名帳記載の長岡郡五座のうちの「小野ヲノヽ神社」に比定される。祭神の天足彦国押人命は小野氏の先祖神で、「新撰姓氏録」に「小野朝臣 孝昭天皇々子天足彦国押人命之後」とみえるが、伝承によると、命の子孫が縁あって当地に来住し、じよう山を本拠に発展、一族の守護神、また土地の産土神として祀ったという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「小野神社」の解説

小野神社〔滋賀県〕

滋賀県大津市にある神社。創立年代不明。祭神は天足彦国押人命(あめたらしひこくにおしひとのみこと)、米餠搗大使命(たがねつきおおおみのみこと)。小野妹子が氏神社として奉祀したとされる。境内社に小野道風(とうふう)を祀る道風神社、篁(たかむら)神社があり、どちらも本殿が国の重要文化財に指定。

小野神社〔東京都〕

東京都多摩市にある神社。延喜式神名帳にある多磨郡「小野神社」に比定する説もある。祭神は天ノ下春命(あめのしたはるのみこと)、瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)。旧称は一ノ宮大明神。武蔵国一之宮。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

事典・日本の観光資源 「小野神社」の解説

小野神社

(長野県塩尻市)
信州の神社百選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android