尽・末枯(読み)すがれる

精選版 日本国語大辞典 「尽・末枯」の意味・読み・例文・類語

すが・れる【尽・末枯】

〘自ラ下一〙 すが・る 〘自ラ下二〙
草木、花が盛りを過ぎて、しおれ枯れる。
※付焼刃(1905)〈幸田露伴〉三「汀渚(みぎは)蘆荻末枯(スガ)れ果てて居るが」
② 人のからだや気持などが盛りを過ぎて衰える。
※咄本・初音草噺大鑑(1698)一「末摘花と云ふすがれたる大夫」
③ 物が古くなったりはやらなくなったりしてみすぼらしく見える。荒れはてる。
※俳諧・犬子集(1633)一五「是非共に程時すぐと音をきかん すがれる市にたつはばか者〈慶友〉」
活気や元気が感じられなくなる。
人情本・春色恵の花(1836)初「ふけゆくままにしんしんと、地まはりの声もすがれ」
※金(1926)〈宮嶋資夫〉一三「寂しいすがれた生活」
⑤ たいている香の香りが、ほとんど出なくなる。
※為尹千首(1415)冬「炭竈煙 すみやきの市に出たる跡なれやただすかれたるうす煙かな」
読本・逢州執着譚(1812)九「すがれたれども名香とおぼしき空炷(そらだき)に」

すが・る【尽・末枯】

[1] 〘自ラ四〙
① 盛りを過ぎて衰えかかる。老いやつれる。衰退する。
日葡辞書(1603‐04)「ウリガ sugaru(スガル)
浮世草子・好色盛衰記(1688)四「身用心傾城買もすがらぬうちに分別すべし」
② たいている香の香りがほとんど無くなり、消えつきそうである。
※五月雨日記(1479)「香すがりてすゑざまより、又右の座上へ火とりをもちてまいる」
[2] 〘自ラ下二〙 ⇒すがれる(尽)

すがり【尽・末枯】

〘名〙 (動詞「すがる(尽)」の連用形名詞化)
① 盛りを過ぎて衰えかかること。また、そのもの。老い衰えたもの。なれの果て。ものの終わり。すがれ。
※俳諧・鷹筑波(1638)五「青梅は匂ひの玉のすかりかな〈正依〉」
※読本・逢州執着譚(1812)四「夜もいたく深(ふけ)、酒もすがりになりける時」
② 香をたいて、香りがほとんど出なくなった状態。また、香木焚き殻余香。すがれ。
※五月雨日記(1479)「すがりをまた一ぺん、次第にすゑざままでききはて侍る」

すがれ【尽・末枯】

〘名〙 (動詞「すがれる(尽)」の連用形の名詞化)
※雑俳・川柳評万句合‐明和五(1768)鶴二「日より下駄おやじがはくはすかれ也」
随筆独寝(1724頃)上「伽羅よくかぎりなし、〈略〉あはれ成る、夜あらしにすかれの煙と消はてぬるこそ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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