尾上多見蔵(2代)(読み)おのえ・たみぞう

朝日日本歴史人物事典 「尾上多見蔵(2代)」の解説

尾上多見蔵(2代)

没年:明治19.3.2(1886)
生年:寛政11(1799)
幕末明治期の歌舞伎役者俳名松玉。屋号音羽屋。瀬川和市を名乗った子供芝居から名優といわれ,中村和市を経て22歳で江戸に下り尾上多見蔵を襲名。末恐ろしい若者と評された。3年後,帰坂して中芝居で早替わり,「鯉つかみ」などの業で驚かせ,「敵討高砂松」(「研辰」)など新作で当て花形となった。33歳で大芝居に出るや,たちまち大立者となり,三都はもちろん各地に出演。天保改革後は旅で大川八蔵を名乗った。石川五右衛門の宙乗り,葛籠抜けなど,派手な芸風は幕末期の観客の好みに合い,老巧ゆえに「三都随一の親方」,明治期には「総長」と称された。77歳で「石橋」の毛を振った人である。

(青木繁)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「尾上多見蔵(2代)」の解説

尾上多見蔵(2代) おのえ-たみぞう

1800-1886 江戸後期-明治時代の歌舞伎役者。
寛政12年生まれ。大坂芝居の子役評判となる。3代中村歌右衛門の門下から3代尾上菊五郎の門にうつり,文政3年2代多見蔵をつぐ。江戸と関西舞台で立役(たちやく)として活躍。明治19年3月2日死去。87歳。京都出身。初名は瀬川和市。俳名は二朝,松玉。号は春風舎。屋号は音羽屋。

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