尾上菊次郎(読み)おのえきくじろう

改訂新版 世界大百科事典 「尾上菊次郎」の意味・わかりやすい解説

尾上菊次郎 (おのえきくじろう)

歌舞伎俳優。文化・文政期,市川滝三郎が3世尾上菊五郎に入門して菊次郎を称したのを初世とし4代にわたる。屋号は代々音羽屋。(1)2世(1814-75・文化11-明治8) 俳名梅花。大坂生れ。7世片岡仁左衛門,2世中村富十郎などの門下を経て1835年(天保6)江戸へ下り,3世菊五郎の弟子となり,中村三光から2世尾上菊次郎となった。初世坂東志うか,4世菊五郎とともに若手女方の人気を争った。名人4世市川小団次の女房役者として特に世話物の女役をよくした。(2)3世(1882-1919・明治15-大正8) 5世菊五郎の門弟。8世尾上芙雀(ふじやく)から1915年に3世菊次郎となった。美貌の女方で6世菊五郎の女房役となり将来を嘱望されたが若くして病没した。(3)4世(1904-81・明治37-昭和56) 1935年4世坂東竹三郎から4世菊次郎となった。6世菊五郎に認められてその相手役もつとめた。長く関西歌舞伎にあり重厚な女方として活躍した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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