尾張万歳(読み)オワリマンザイ

デジタル大辞泉 「尾張万歳」の意味・読み・例文・類語

おわり‐まんざい〔をはり‐〕【尾張万歳】

尾張知多本拠地とし、正月に家々をめぐった門付け万歳 新年》

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精選版 日本国語大辞典 「尾張万歳」の意味・読み・例文・類語

おわり‐まんざい をはり‥【尾張万歳】

〘名〙 愛知県知多市を本拠地とする万歳。年頭に門付けして回り歩く。建治・弘安年間(一二七五‐八八)無住国師から歌曲を授けられたという。知多万歳。
風俗画報‐二二四号(1901)万歳「尾張万歳の唱歌は、無住国師の作のよしにて、今伝ふるもの五章あり」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾張万歳」の意味・わかりやすい解説

尾張万歳
おわりまんざい

愛知県の知多半島一帯に伝承する万歳。知多万歳ともいう。農民農閑期の正月に檀那場(だんなば)をめぐって歩いたが、年中全国を門付(かどづけ)する者もいた。鎌倉時代中葉に木賀崎(名古屋市内)の長母寺(ちょうぼじ)の開山無住(むじゅう)国師が貧農父子に始めさせたという。太夫(たゆう)と才蔵の2人が演じる「法華経万歳」「六条万歳」「神力万歳」「御城万歳」「地割万歳」の宗教的な五(御)万歳が基本で、一つを演じ終わると滑稽(こっけい)な「福倉持倉(ふくらもくら)(なかなか万歳)」を演じる。太夫は立烏帽子(たてえぼし)に直垂(ひたたれ)、手に扇、才蔵は大黒頭巾(だいこくずきん)に小袖(こそで)、裁着(たっつけ)、手に鼓が一般的である。

 明治以降は舞台で数名で「御殿万歳」や、鼓、三味線胡弓(こきゅう)入りの芝居の「三曲万歳」や掛け合い(奥田節、アイナラエとも)を演じたりした。

[西角井正大]


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デジタル大辞泉プラス 「尾張万歳」の解説

尾張万歳

愛知県知多市に伝わる民俗芸能扇子を持った太夫と、鼓を持った才蔵が祝言を述べ、舞を舞う。古くは「千秋万歳」と呼ばれた新種祝福芸。「御万歳」と呼ばれる儀式的な演目と、娯楽的な演目がある。1996年、国の重要無形民俗文化財指定

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世界大百科事典(旧版)内の尾張万歳の言及

【万歳】より

…万歳の宮中への参入は大正時代中ごろまであったといい,民間では第2次世界大戦ころまでは盛んであったが,戦後はしだいに衰微し,現在は全国をめぐり歩く万歳の姿はほとんど見かけなくなった。 民俗芸能として地域に残るのは〈尾張万歳〉〈越前万歳〉〈伊予万歳〉などで,〈三河万歳〉〈秋田万歳〉〈加賀万歳〉〈会津万歳〉〈豊後万歳〉は衰微し,〈大和万歳〉〈仙台万歳〉〈津島万歳〉〈伊六万歳〉,沖縄の〈京太郎(ちよんだらあ)〉は廃絶した(京太郎の芸系をひく民俗芸能は現存する)。 万歳は一般には太夫と才蔵の2人が一組になり,太夫が扇をかざし,いろいろとめでたい寿詞(ほぎごと)を言い立て,才蔵が小鼓を打ち囃して合の手を入れる掛合いで進行する。…

※「尾張万歳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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