尾籠(読み)びろう

精選版 日本国語大辞典 「尾籠」の意味・読み・例文・類語

び‐ろう【尾籠】

〘名〙 (形動) (「おこ(痴)」の字にあてた「尾籠」の音読み)
礼儀をわきまえないこと。思慮が浅く不作法であること。また、そのさま。失礼。無礼。
※台記‐康治元年(1142)一一月四日「見参入道殿、多令古事給、顕光大臣尾籠者云々」
※とはずがたり(14C前)二「返す返すびろうのしわざに候けり。いそぎあがひ申さるべし」
② 恥ずべきこと。見苦しいこと。また、そのさま。
※金刀比羅本平治(1220頃か)中「申さば尾籠(ヒロウ)にて候へども、馬ねぶりをつかまつりてうちおくれまゐらせ候ひぬ」
③ まずしいこと。貧乏。
※本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「びらうのもの〈けいくゎいぞ〉は、わが身一人してととのへんとすれどもかなはぬものぞ」
④ 話題として不適当な、きたないこと。不潔であること。また、そのさま。
※天草本伊曾保(1593)蠅と蟻の事「ハイホド birôna(ビロウナ) モノワ ヲリナイ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「食ると尾籠(ビロウ)ながら吐まする」
⑤ わいせつなこと。ふしだらなこと。また、そのさま。
浄瑠璃・佐々木先陣(1686)一「某が先陣の案内させんとからめをいたる女をとらへ、たはふるるはびろう也」
[語誌]→「おこ(痴)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「尾籠」の意味・読み・例文・類語

び‐ろう【尾籠】

[名・形動]《「おこ(痴)」に当てた漢字「尾籠」を音読みしたもの》
不潔であること。また、そのさま。「食事中、尾籠な話になるが」
わいせつであること。また、そのさま。
「若い女が若い男の帯解いて、さうして後で紙で拭ふとは―至極、疑はしい」〈浄・油地獄
礼儀をわきまえないこと。また、そのさま。無礼。
「殿の御出ぎょしゅつに参り逢うて、乗物より降り候はぬこそ―に候へ」〈平家・一〉
[類語]汚いむさくるしい汚らしい小汚い薄汚いけがらわしいばっちいむさい埃っぽい泥まみれ不潔不浄不衛生不純醜悪見苦しいみすぼらしいぼろいぼろぼろおんぼろよれよれがたがたぽんこつ老朽化汚穢おわい汚れ物汚濁けがれよごれ汚点汚染くすむ薄汚れる汚れるすすけるあかじみるまみれる油じみる汗じみるみっともないはしたない醜態老醜無様ぶざま不格好醜いしゅうばばっちいしどけない目障りむさいじじむさいかっこ悪いださい野暮野暮ったい泥臭い不細工田舎臭い不体裁グロテスク不器量弊衣破帽だらしない醜怪浅ましい見辛い見るに見兼ねる

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