屛風土代(読み)びょうぶどだい

改訂新版 世界大百科事典 「屛風土代」の意味・わかりやすい解説

屛風土代 (びょうぶどだい)

平安時代の能書小野道風の筆蹟。巻子本行書の詩巻で,宮内庁蔵。屛風土代とは,屛風に清書するにあたっての土代,下書きの意味である。道風の署名はないが,奥書に藤原定信が保延6年(1140)にこの書を入手した際に記した識語がある。それによると本書は,延長6年(928)道風が勅命によって,宮中の屛風に書写したときの下書きで,大江朝綱の詩を書いたもの。この鑑定の内容は,《日本紀略》の記事とも合致し,本書は道風の真筆とされる。荘重な威厳をもつ名筆で,古来日本に伝えられた王羲之蔵鋒の妙がよく学ばれている点も注目される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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