山之口(読み)やまのくち

日本歴史地名大系 「山之口」の解説

山之口
やまのくち

室町時代からみえる地名。現山之口町一帯に比定される。山之口の惣廟である走湯はしりゆ権現は、一説に南北朝期に北朝方の畠山直顕に随行して当地に下向した土肥実重が福王寺姓を名乗り、伊豆走湯そうとう(現静岡県熱海市の伊豆山神社)を勧請して建立したと伝えられ、別当寺修善しゆぜん寺も建立された(「三俣院記」など)。山之口地内の大門だいもんに山之口城跡があり、空堀などの存在が知られる。享禄三年(一五三〇)頃には、山之口城はたか(現高城町)梶山かじやま(現三股町)などとともに伊東氏が確保した庄内三俣しようないみまたの八外城の一つとされていた(年未詳「先代日向一国時支配覚」予章館文書、年未詳「北郷家家譜写」北郷文書)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山之口」の意味・わかりやすい解説

山之口
やまのくち

宮崎県南西部、北諸県(きたもろかた)郡にあった旧町名(山之口町(ちょう))。現在は都城市(みやこのじょうし)の東部を占める地域。都城盆地東端に位置する。旧山之口町は1964年(昭和39)町制施行。2006年(平成18)都城市に合併。旧町名は、中世城館山之口城、また都城盆地と宮崎平野を分ける山地の入口にあたることに由来する。西部に扇状地性の河岸段丘があるほかは大部分日南(にちなん)山地で、青井(あおい)岳(563メートル)は都城盆地、宮崎平野の分水界である。JR日豊(にっぽう)本線、国道269号、宮崎自動車道が通る。古代駅家の水俣(みまた)駅の所在地といわれ、荘園島津荘三俣院(しょうえんしまづのしょうみまたのいん)も存した。戦国末の一時期伊東(いとう)氏が領したが、のち薩摩(さつま)島津氏の支配となった。主産業は農業で畜産が盛ん。特産物には完熟キンカン、粘土瓦(がわら)がある。観光地には青井岳自然公園がある。人形芝居の伝統芸能「麓文弥節人形浄瑠璃(ふもとぶんやぶしにんぎょうじょうるり)」が国の重要無形民俗文化財に指定されている。

[横山淳一]

『『山之口町史』(1974・山之口町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山之口」の意味・わかりやすい解説

山之口
やまのくち

宮崎県南西部,都城市東部の旧町域。鰐塚山地の北西斜面にある。 1964年町制。 2006年都城市,高城町,山田町,高崎町と合体して都城市となった。江戸時代は薩摩藩領。ほとんどが山林で,その大部分は国有林である。中央部を西流する大淀川の支流東岳川の流域農地開け,米,野菜が栽培されるほか,畜産が行なわれる。粘土瓦の製造も発達。麓地区に伝わる文弥節人形浄瑠璃は国の重要無形民俗文化財。的野地区では弥五郎どん祭が伝わる。一部はわにつか県立自然公園に属する。

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改訂新版 世界大百科事典 「山之口」の意味・わかりやすい解説

山之口 (やまのくち)

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デジタル大辞泉プラス 「山之口」の解説

山之口

宮崎県都城市にある道の駅。国道269号に沿う。

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