山形・山型(読み)やまがた

精選版 日本国語大辞典 「山形・山型」の意味・読み・例文・類語

やま‐がた【山形・山型】

[1] 〘名〙
① 山のような形。中央が高くとがり、左右が斜めに下がっている形。
※説経節・説経しんとく丸(1648)上「おぼしめす御しんじ申こと、ねんごろにかきとどめ、山がたやうにおしたたみ」
② 灌仏会の時、誕生仏の背後に飾る須彌山(しゅみせん)の作り物。
※延喜式(927)一三「山形二基、一基立青龍形、一基立赤龍形
③ 射芸で、歩射の的の後方に立てる矢防ぎの布を垂らす台。
※内裏式(833)十七日観射式「侯後四許丈張山形紺布之」
馬具で、鞍橋(くらぼね)前輪(まえわ)後輪(しずわ)の中央の高くなっているところ。
曾我物語(南北朝頃)一「のりたる鞍の後の山がたをいけづり」
唐太刀(からたち)や飾り太刀の帯取(おびとり)を掛ける足金物(あしかなもの)の座につけた連山の形状を示す金物。燧金物(ひうちがなもの)とも。
正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳「金銀荘作唐大刀一口〈刃長二尺七寸二分〉鋒者両刃、鮫皮褁把、金銀作山形龍鱗葛形平文」
折烏帽子(おりえぼし)の部分の名。ひなさきの上部で、正面から高く見える部分。頂を折り伏せた烏帽子の、もっとも高くそびえている部分。
⑦ 歌舞伎などの立回りの型の一つ。刀を大きく上段に振りかぶって、左右に打ちおろすこと。太刀打ちの最初の型で、上段から左に振りおろし、次いで右に振りおろす。刀さばきが山のような形になるところから、この名で呼ばれる。
⑧ 紋所の名。山の形をかたどったもの。山形、入山形などがある。
屋号の上につける標識の形状で示すもので入山形、差金山形、花山形などがある。
⑩ 江戸吉原の細見で、遊女の源氏名の上につけるしるし。また、その等級の遊女。白山形・黒山形や、山形に一つ星、二つ星などと、遊女の段階に応じて符号があり、揚代の高下の目やすともなっていた。一重の山形は部屋持ちをあらわし、二重の入り山形は座敷持ち以上を示した。山形の星。
※洒落本・廓節要(1799)序「彼の細見に(ヤマカタ)の有と無のが官位門」
[2] (山形)
[一] 山形県東部の地名。県庁所在地。山形盆地の南部に発達した中世以来の城下町。江戸時代は領主交替が多く衰退。現在では鋳物・電子機器工業などが行なわれる。明治二二年(一八八九)市制。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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