山本一清(読み)やまもといっせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山本一清」の意味・わかりやすい解説

山本一清
やまもといっせい
(1889―1959)

天文学者。滋賀県に生まれる。1913年(大正2)京都帝国大学物理学科を卒業し、水沢国際緯度観測所に勤務。測地学委員会の委嘱により、全国280か所の重力偏差を測定する。1922年~1925年にかけてアメリカ・イギリス・ドイツ・フランスに留学。1925年から京都帝国大学教授、1929年(昭和4)花山天文台が開設されると台長も兼務する。太陽黒点、小惑星、黄道光変光星などに関する幅広い研究を行ったが、その研究の特徴は、これらの観測について民間の天文家の協力を得ていることであった。1935年~1938年に国際天文学連合黄道光委員会委員長。1938年退官し、滋賀県田上(たなかみ)村(現、草津市)の自宅に私設天文台をつくり、活動を続けた。

 1920年、民間の天文家のために東亜天文学会を設立(創設時の名称は天文同好会、1932年に東亜天文協会、1944年に東亜天文学会と改称)、雑誌『天界』を創刊して天文学の普及啓蒙(けいもう)に貢献した。

[編集部 2023年6月19日]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「山本一清」の解説

山本一清 やまもと-いっせい

1889-1959 大正-昭和時代の天文学者。
明治22年5月27日生まれ。山本栗斎(りつさい)の子。大正14年母校京都帝大の教授,のち同大花山天文台長。新星,流星の研究で知られる。東亜天文学会を創設し,「天界」を発行。昭和13年退官,自宅に田上(たなかみ)天文台をつくった。昭和34年1月16日死去。69歳。滋賀県出身。著作に「星座とその伝説」など。

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