山本春正(読み)やまもとしゅんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山本春正」の意味・わかりやすい解説

山本春正
やまもとしゅんしょう

江戸時代から明治にかけての世襲蒔絵(まきえ)師。10代まである。初代(1610―82)は京都の人で、通称は次郎三郎。晩年法橋(ほっきょう)に叙せられ舟木と号した。初め木下長嘯子(きのしたちょうしょうし)に歌道を学び、『二十一代集類句』を著す。伊藤仁斎(じんさい)とも交わり、漢学にも通じた文人であったが、漆芸、ことに蒔絵にも巧みであったことからこれを家業となし、清楚(せいそ)な作風特色があった。2代景政(かげまさ)(?―1707)以下代々春正を名のり、5代正令(まさよし)(1734―1803)からは名古屋へ移住。6代正之(まさゆき)(1774―1831)は尾張(おわり)藩の小納戸(こなんど)御具足方(ぐそくかた)御用を勤め、以下明治まで続いた。

[郷家忠臣]

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百科事典マイペディア 「山本春正」の意味・わかりやすい解説

山本春正【やまもとしゅんしょう】

京都の蒔絵(まきえ)師。初世〔1610-1682〕は木下長嘯子に和歌を学び,伊藤仁斎と交わって漢籍にも通じたが,蒔絵を好んで家業とするに至った。2世〔?-1707〕は初世の子で,春正景正と号し,以来春正を家名とした。研出(とぎだし)蒔絵を得意とし,東山天皇即位の調度に蒔絵した。5世〔1734-1803〕は春正正令。1789年から名古屋で活動。6世〔1774-1831〕は5世の子。春正正之。尾州家御小納戸御具足方御用を勤めた。

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