朝日日本歴史人物事典 「山本東次郎(初代)」の解説
山本東次郎(初代)
生年:天保7.8.15(1836.9.25)
幕末から明治にかけての狂言師。隠居名東。大蔵流山本東次郎家初代則正。豊後岡藩(大分県竹田市)藩士赤羽嘉助の3男。弘化2(1845)年,10歳で同藩山本武兵衛の養子となり,その翌年,藩から狂言稽古を命じられ,徳島藩狂言方の宮野孫左衛門の内弟子となる。次いで岡藩狂言方小松謙吉に師事,このころから家元家の相手役なども勤める。維新後は一時帰郷するが,明治11(1878)年暮れに上京し,和泉流が隆盛を誇る東京の狂言界で大蔵流の重鎮として活躍した。年輪を重ねるにつれて軽妙,飄逸な芸風となり,狂言界の長老らしい円熟した芸をみせた。<参考文献>池内信嘉『能楽盛衰記』
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報