山王権現(読み)さんのうごんげん

精選版 日本国語大辞典 「山王権現」の意味・読み・例文・類語

さんのう‐ごんげん サンワウ‥【山王権現】

(「日吉山王権現」の略)
[1]
[一] 滋賀県大津市坂本にある日吉大社祭神。最澄(伝教大師)が、中国天台山国清寺の山王祠にかたどって、比叡山の守護神として山王祠を建立したことから起こったもの。大山咋神(おおやまくいのかみ)を祭神とし、二一社から成る。猿を神の使者とみる信仰があり、山王祭・日吉祭などの祭礼も、近世までは陰暦四月の中の申(さる)の日に行なわれた。山王。
※太平記(14C後)二七「正八幡大菩薩・春日大明神・山王権現(さんわうゴンゲン)の忿(いかり)を含ませ給ふに依て」
[二] 東京都千代田区永田町にある日枝神社の祭神。文明年間(一四六九‐八七)、太田道灌が、武蔵国河越(川越)から江戸城内に移したもので、江戸市民の尊崇を集めた。祭礼(山王祭)は元和元年(一六一五)以来神田明神(神田祭)と隔年で、陰暦六月一五日に行なわれ、徳川将軍家の上覧があるほど盛大であった。麹町山王。山王。
※江戸雀(1677)一「御氏神山王権現御祭礼、御矢倉に出御ましまし御一覧有に」
[2] 〘名〙 かならず、きっとの意で、誓いを立てるときにいう語。
※天理本狂言・靫猿(室町末‐近世初)「『とてもの事にちかひをたててくれよと云』〈略〉『さんなうごんげんかしこまったと云』」

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デジタル大辞泉 「山王権現」の意味・読み・例文・類語

さんのう‐ごんげん〔サンワウ‐〕【山王権現】

《「日吉ひえ山王権現」の略》日吉ひよし大社日枝ひえ神社の祭神。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山王権現」の意味・わかりやすい解説

山王権現
さんのうごんげん

日吉大社」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の山王権現の言及

【山王信仰】より

…比叡山のふもと,滋賀県大津市に鎮座する日吉(ひよし)大社に対する信仰。この日吉大社は山王権現とも称された。大山咋(おおやまくい)神を主祭神とする古い山岳信仰にその源流を発し,平安時代の初め,延暦年間(782‐806)に天台宗の開祖,伝教大師最澄が延暦寺を建立したとき,山麓にあった日吉の神を,延暦寺一山の鎮守神,天台宗の護法神と定めた。…

【日吉大社】より

…全国の日吉(枝)(ひえ)社約3800余社の総本社。日吉(ひえ)社とか山王権現ともよばれる。比叡山の東の尾根にある牛尾山(小比叡峰または八王子山)の大山咋(おおやまくい)神(別名を山末之大主(やますえのおおぬし)神)が最初にまつられた地主神で,のち668年(天智7)に三輪の大己貴(おおなむち)神を比叡の山口に勧請して大比叡神とし,大宮とよばれて西本宮にまつられ,大山咋神は小比叡神とされて東本宮にまつられた。…

※「山王権現」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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