山菅の(読み)やますげの

精選版 日本国語大辞典 「山菅の」の意味・読み・例文・類語

やますげ‐の【山菅の】

山菅の実の意で、「実」にかかる。
万葉(8C後)四・五六四「山菅之(やますげの)実ならぬことを吾によそり言はれし君は誰とか寝(ぬ)らむ」
② 山菅の葉が繁く乱れて延びることから「乱る」にかかる。
※万葉(8C後)一一・二四七四「山菅(やますげの)乱れ恋ひのみせしめつつ逢はぬ妹(いも)かも年は経につつ」
③ 「やますげ」の「やま」と同音の繰り返しで「止(や)まず」にかかり、「すげ」と類音の繰り返しで、「背向(そがひ)」にかかる。
※万葉(8C後)一二・三〇五五「山菅之(やますげの)止まずて君を思へかも吾が心どの此の頃は無き」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「山菅の」の意味・読み・例文・類語

やますげ‐の【山×菅の】

[枕]
山菅の葉が茂り乱れている意から、「乱る」「背向そがひ」にかかる。
「―思ひ乱れて恋ひつつ待たむ」〈・三二〇四〉
山菅の実の意で、「実」にかかる。
「―実成らぬことを」〈・五六四〉
山菅の「やま」と同音の、「止まず」にかかる。
「―止まずて君を思へかも」〈・三〇五五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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