岐阜[県](読み)ぎふ

百科事典マイペディア 「岐阜[県]」の意味・わかりやすい解説

岐阜[県]【ぎふ】

中部地方の西部にある内陸県。県庁所在地は岐阜市。1万621.29km2。208万773人(2010)。〔沿革〕 かつての美濃国飛騨国の2国の地で,江戸後期美濃に大垣加納,高須,郡上(ぐじょう),岩村苗木高富,野村の諸藩と,笠松に美濃郡代があり,飛騨は全域幕領で,高山に飛騨郡代があった。1871年美濃は笠松県と岐阜県となり,飛騨は高山県となり一時筑摩県に合併,1876年分離して岐阜県に編入された。2005年2月長野県木曾郡山口村が中津川市に編入合併した。〔自然〕 飛騨地方は東に飛騨山脈,西に両白山地があり,北と南は飛騨高地で占められる山国で,神通(じんづう)川支流の宮川と高原川の流域,木曾川の支流飛騨川益田(ました)川)流域に低地があるにすぎない。美濃地方は西に伊吹・養老両山地があり,東部は愛知県に続く美濃三河高原の一部である。中央南部は木曾川が西流する濃尾平野地域で,県の主要都市が集中する。この平野南西部の海津町(現・海津市)付近には木曾,長良,揖斐(いび)の3川の下流部が集中し,古くから水害が多かったため,耕地と集落を堤防で囲む輪中が発達する。飛騨地方北部は日本海岸式気候で積雪が多く,飛騨南部や美濃地方は太平洋岸式気候で比較的温暖であるが,地形が複雑なため地域差が大きい。〔産業〕 産業別人口構成は第1次3.7%,第2次34.7%,第3次61.0%(2005)で,濃尾平野および中央自動車道沿いを中心に工業の比重が増大してきた。濃尾平野では果樹・野菜栽培,畜産(特に養鶏)が普及し,農家の兼業化も著しい。特産に富有柿,美濃三河高原の寒天がある。林野面積は県の約80%を占め,林業が盛んで,製材,パルプ用材を産し,シイタケナメコなども多産する。鉱業では日本最大の亜鉛鉱山の神岡鉱山飛騨市)があり,大垣市赤坂地区は石灰石と大理石を多産。濃尾平野部は中京工業地帯の北部に当たり,岐阜,大垣,羽島各市に繊維工業(綿紡,毛織物など),各務原(かかみがはら)市に航空機・自動車工業,1975年県下全通した中央自動車道沿いには多治見,土岐,瑞浪(みずなみ)各市などに窯業,恵那市の製紙,一般機器,中津川市の電気機器,プラスチックなどと多様化している。このほか関市の刃物,美濃市の紙,高山市の曲木家具,岐阜市のちょうちん,うちわなど特色ある産業もみられる。県の製造品出荷額は4兆8296億円(2003)を上げ,中部地方で4位を占める。中部山岳・白山両国立公園,飛騨木曾川国定公園があり,白川郷(世界遺産),高山市の高山祭,郡上市の郡上(ぐじょう)踊,長良川の鵜飼い,恵那峡など観光資源も多い。〔交通〕 南西部は主要都市を結んで東海道本線・新幹線,名神高速道路,東海北陸自動車道が通じ,名古屋市との連絡が密である。東濃地域には中央本線,中央自動車道,国道19,21号線が通じる。飛騨地方には飛騨川の河谷に沿って高山本線,国道41号線が通じるが交通は比較的不便である。
→関連項目中部地方

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