岡田節人(読み)おかだときんど

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岡田節人」の意味・わかりやすい解説

岡田節人
おかだときんど

[生]1927.2.4. 兵庫,伊丹
[没]2017.1.17. 京都,京都
発生生物学者。1950年京都大学理学部卒業,1957~59年イギリスのエディンバラ大学動物遺伝学研究所に留学し,1959年京都大学で理学博士号を取得。1967年京都大学理学部動物学科教授,1971年同大学生物物理学科教授に就任。1981~85年国際発生生物学会会長,1984~89年岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所所長,1993~2002年 JT生命誌研究館館長を歴任した。両生類消化管や腎臓発生の組織学的な研究に従事し,のち世界で初めてニワトリ胚の水晶体培養に成功,網膜から水晶体への分化転換を証明し細胞の多能性を発見した。発生学普及のため,テレビ出演のほか,『細胞の社会』(1972),『からだの設計図』(1994),『生物学個人授業』(1996)などの啓蒙書を出版。クラシック音楽にも造詣が深く,『アルマ・マーラーに恋した生物学者――生命の響き』(2000)を著し,京都市音楽芸術文化振興財団理事長を務めた。1984年京都大学名誉教授。1989年国際発生生物学会ハリソン賞を受賞,1995年文化功労者に選ばれた。1999年勲二等旭日重光章,2007年文化勲章を受章した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「岡田節人」の解説

岡田節人 おかだ-ときんど

1927- 昭和後期-平成時代の発生生物学者。
昭和2年2月4日生まれ。42年京大教授となる。平成元年岡崎国立共同研究機構長,5年JT生命誌研究館館長。眼の水晶体細胞の培養に成功。また細胞どうしの親和力を解明する。元年ハリソン賞。日本発生生物学会会長,国際生物科学連合副総裁などをつとめた。科学と文化について積極的に発言。7年文化功労者。19年文化勲章。兵庫県出身。京大卒。著作に「細胞の社会」など。

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