岩菅山(読み)いわすげやま

改訂新版 世界大百科事典 「岩菅山」の意味・わかりやすい解説

岩菅山 (いわすげやま)

〈いわすごやま〉ともよみ,岩寥(いわすご)山,赤禿(あかはげ)山ともいう。長野県北東部,下高井郡山ノ内町志賀高原の北東部にある山。標高2295m。北東方向へ裏岩菅山(2341m),烏帽子岳(2230m),笠法師山(1919m)など一連の火山列をなす。これらの山塊は,第三紀中新世~鮮新世に噴出した古い火山で,おもに複輝石安山岩より成る。山頂部は厚い溶岩におおわれ,標高2000m付近には柱状節理が発達して断崖をなす。加えて中津川支流の魚野川の浸食も激しく,東側山腹は急傾斜で深い渓谷をなす。南西および南東部の雑魚(ざつこ)川・魚野川源流部山腹は,トウヒコメツガなどみごとな樹林によっておおわれているが,1968年以降,雑魚川上流域の奥志賀一帯はスキー場などとして開発されている。山頂からの展望は雄大で,南東には浅間山とはるかに富士山,西に飯縄山,黒姫山などの諸火山と北アルプスを眺望できる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩菅山」の意味・わかりやすい解説

岩菅山
いわすげやま

長野県北東部の志賀高原(しがこうげん)にある山。「いわすごやま」ともいう。地質は第三紀に噴出した安山岩の古い火山で、侵食が進んでいる。山頂は岩菅山(2295メートル)と裏岩菅山に分かれ、最高点は裏岩菅山の2341メートルで、志賀高原一帯の最高峰をなす。昔は岩巣護山(いわすごやま)とよばれたが、これは江戸幕府直属の巣鷹山(すだかやま)として保護されていたことに由来する。山腹はブナ、トウヒ、コメツガなどに覆われているが、2000メートル前後にはコマクサガンコウラン、ツガザクラなどの高山植物がみられる。稜線(りょうせん)から東側の国有林部分は、ワタスゲ、ヒオウギアヤメハクサンチドリなどの湿性植物群落特別保護地区になっている。登山は志賀高原の玄関口湯田中(ゆだなか)から東館山(ひがしたてやま)(バス、リフトを利用)を経て、徒歩3時間。

[小林寛義]

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百科事典マイペディア 「岩菅山」の意味・わかりやすい解説

岩菅山【いわすげやま】

長野県北東部にあり,輝石安山岩と凝灰岩からなる開析された火山。標高2295m。〈いわすごやま〉とも。中津川の支流魚野川と雑魚(ざこ)川で限られ,北の裏岩菅山,烏帽子岳に続く。モミ,ツガにおおわれ,山頂からの展望にすぐれる。上信越高原国立公園に属し,登山口は志賀高原の発哺(ほっぽ)温泉。
→関連項目志賀高原

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩菅山」の意味・わかりやすい解説

岩菅山
いわすげやま

「いわすごやま」ともいう。長野県北東部,志賀高原の北東方にある山。標高 2295m。北へ裏岩菅山,烏帽子岳,笠法師山と続いて山塊を形成している。ひん岩を基盤にした安山岩から成る火山で,浸食が進んでいる。山腹はトウヒ,コメツガなどの原生林で山頂は高山植物帯。山頂には岩菅神社があり眺望にすぐれる。ふもと一帯を奥志賀と呼び,スキー場など観光開発が進んでいる。上信越高原国立公園に属する。

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