島田組(読み)しまだぐみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「島田組」の意味・わかりやすい解説

島田組
しまだぐみ

幕末・維新期の政商京都豪商で、屋号蛭子(えびす)屋と称した。8代将軍吉宗(よしむね)から特別の恩顧を受け、幕府為替(かわせ)方として十人組に属した。明治維新後、三井組、小野組とともに、明治政府の財政的基礎の確立に努め、政府から為替方ならびに府県為替方を命ぜられ、三都を中心に創設された為替会社などにも参画している。江戸(東京)、大阪、京都を拠点として、生糸絹織物をはじめとする特産物や年貢米あるいは貢租米の売買、官公預金の取扱いなどにも関係して富を蓄積した。しかし実力は三井組などに及ばず、1874年(明治7)為替方の提供担保物件に関する規則改正が原因で、小野組とともに同年閉店破綻(はたん)した。

[加藤幸三郎]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「島田組」の解説

島田組
しまだぐみ

江戸時代~明治初年の豪商。島田八郎左衛門(宗全)が山城国綴喜(つづき)郡内里村から京都に出て呉服商を創業した。ついで江戸・大坂にも開店,両替店も営み,1752年(宝暦2)金銀御為替御用達に加入した。明治維新の際には金穀出納所御用達となり,会計基立金調達に尽力,太政官札発行に従事し,商法会所・通商会社・為替会社・開墾会社などに加わった。また9県の為替方に任じられ官金を扱ったが,1874年(明治7)の官金に対する抵当増額の達に対応できず,12月閉店した。

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百科事典マイペディア 「島田組」の意味・わかりやすい解説

島田組【しまだぐみ】

江戸中期から明治初年の京都の富商。屋号蛭子(えびす)屋。幕府の為替御用を務めたが,明治維新には新政府の財政確立に貢献,三井・小野両組とともに為替方となり,諸県の為替方も兼ねる。これにより公金の無利子運用などで利益をあげたが,官金取扱規則の改正で為替方の担保制度が強化されたため,1874年閉店。

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旺文社日本史事典 三訂版 「島田組」の解説

島田組
しまだぐみ

江戸時代〜明治初期にかけての金融業者
京都の富商で,江戸幕府の為替御用達であった。明治維新に際し新政府を援助し,三井・小野組とともに政府の為替方を命じられ,官費出納事務に従事。為替会社の経営にも参加した。1874年,政府の為替方統制強化により閉店。

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