川崎九淵(読み)カワサキキュウエン

デジタル大辞泉 「川崎九淵」の意味・読み・例文・類語

かわさき‐きゅうえん〔かはさきキウエン〕【川崎九淵】

[1874~1961]能の大鼓方おおつづみかた葛野流かどのりゅう宗家預かり。愛媛の生まれ。近代大鼓名人で、地拍子理論確立した。芸術院会員。

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精選版 日本国語大辞典 「川崎九淵」の意味・読み・例文・類語

かわさき‐きゅうえん【川崎九淵】

能楽囃子大鼓方(おおつづみかた)。葛野(かどの)流宗家預り。本名、利吉。愛媛県出身。津村又喜師事。囃子の理論を確立し、近代囃子方の名人といわれた。重要無形文化財保持者芸術院会員明治七~昭和三六年(一八七四━一九六一

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改訂新版 世界大百科事典 「川崎九淵」の意味・わかりやすい解説

川崎九淵 (かわさききゅうえん)
生没年:1874-1961(明治7-昭和36)

能楽,葛野(かどの)流大鼓方。愛媛県松山市生れ。本名利吉。素人から志を立て1899年上京,津村又喜ほかに師事した。若年から抜群の技量示し,芸の真髄を会得し,地拍子(じびようし)と能楽囃子を理論的に解明した。能楽会の囃子方養成事業にも尽力吉見嘉樹(よしき)(1893-1969),亀井俊雄(1896-1969)らの有能な後継者を育てた。1950年葛野流宗家預り,53年芸術院会員,54年三役養成会首席講師,55年喜多六平太幸祥光(こうよしみつ)とともに能楽界最初の重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)に認定される。56年舞台を引退。その芸は理知的できびしく,しかも鋭い感性をそなえ,〈重厚峻厳〉〈秋霜烈日〉などと評された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「川崎九淵」の意味・わかりやすい解説

川崎九淵
かわさききゅうえん
(1874―1961)

能楽師。葛野(かどの)流大鼓(おおつづみ)方。本名利吉(りきち)。愛媛県松山に生まれる。初め同地で東新吾(しんご)に入門、1899年(明治32)上京し、津村又喜に師事。池内信嘉(のぶよし)が主宰した能楽会などで後進の指導にあたった。能楽界の硬骨漢として知られ、芸風も気迫に満ち、重厚峻厳(しゅんげん)、秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)と評された。また囃子(はやし)の音楽理論の確立にも貢献。1950年(昭和25)宗家預りとなる。53年芸術院会員に任じられ、55年重要無形文化財保持者の認定を受けたが、翌年9月舞台を引退した。

[小林 責]

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百科事典マイペディア 「川崎九淵」の意味・わかりやすい解説

川崎九淵【かわさききゅうえん】

能楽師。葛野(かどの)流大鼓方。本名利吉。重厚峻厳(しゅんげん)な芸風。小鼓の幸祥光(こうよしみつ)とのコンビは,明治から昭和に至る能の柱であった。能の囃子(はやし)の理論を確立。1953年芸術院会員,1955年人間国宝。吉見嘉樹(よしき)〔1893-1969〕,1968年に人間国宝となった亀井俊雄〔1896-1969〕はその高弟。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「川崎九淵」の解説

川崎九淵 かわさき-きゅうえん

1874-1961 明治-昭和時代の能楽師大鼓(おおつづみ)方。
明治7年3月30日生まれ。葛野(かどの)流の津村又喜に師事し,独自に技を開発。気迫にみちた芸風で知られ,また地拍子や能楽囃子(ばやし)の理論を確立した。昭和25年葛野流宗家預かりの役につく。28年芸術院会員。30年最初の人間国宝となる。昭和36年1月24日死去。86歳。愛媛県出身。本名は利吉。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川崎九淵」の意味・わかりやすい解説

川崎九淵
かわさききゅうえん

[生]1874.3.30. 松山
[没]1961.1.24. 東京
能楽囃子方。葛野 (かどの) 流大鼓。本名利吉。幼少より喜多流の謡を習い,1881年越智義高,東正親につき大鼓の稽古を始める。 99年上京して津村又喜に師事,同年『西王母』で初舞台。 1902年葛野流宗家代理となる。 53年日本芸術院会員となり,55年重要無形文化財保持者に認定された。 56年9月に引退。

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