川渡(読み)かわわたり

精選版 日本国語大辞典 「川渡」の意味・読み・例文・類語

かわ‐わたり かは‥【川渡】

〘名〙
① 川を渡ること。
※歌仙本家持集(11C前か)雑「鵲の橋つくるより天の河水もひななむ河わたりせむ」
② 川を渡ることになれている者。川だち。川そだち。
※浮世草子・色縮緬百人後家(1718)五「川わたりは川ではつる」

かわ‐わたし かは‥【川渡】

〘名〙 川を渡すこと。また、その人。特に、橋や渡し舟のない川で、旅人を背負いなどして渡すことを職業とする者をいう。
咄本・学習院本昨日は今日の物語(1614‐24頃)「みや川にて、かはわたしに手をひかれて渡る」

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改訂新版 世界大百科事典 「川渡」の意味・わかりやすい解説

川渡[温泉] (かわたび)

宮城県北西部,大崎市の旧鳴子町にある温泉。鳴子温泉郷入口にあり,1000年の歴史をもつという東北の名湯で,〈脚気川渡,カサ鳴子〉と称された。江戸時代後期には仙台藩御用の湯とされ,当時は最上街道荒雄川対岸を通っていたため川渡の名がついたといわれる。重曹硫化水素泉,52~60℃。JR陸羽東線川渡温泉駅の南西2km,中森山の山すそにあって,いまだに閑静な湯治場の雰囲気を残している。
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世界大百科事典(旧版)内の川渡の言及

【鳴子[町]】より

…近世には最上街道(羽前街道)の尿前(しとまえ)の関(番所)が置かれ,芭蕉が〈蚤虱馬の尿(ばり)する枕もと〉(《おくのほそ道》)の句を残している。豊富な温泉群は鳴子温泉郷と鬼首(おにこうべ)温泉郷に大別され,前者は古くから玉造八湯と呼ばれる鳴子(単純泉,含ボウ硝食塩泉など9種,35~100℃),東鳴子(単純泉,重曹泉,50~80℃),川渡(かわたび)(重曹硫化水素泉,52~60℃),中山平(単純泉,68~100℃)の諸温泉を含み,湯量が多く,効能も多様であり,東鳴子を除いて国民温泉に指定されている。鬼首の雌釜・雄釜間欠泉(特天),酸性度の高いことで著名なカルデラの潟沼,中山平の熱帯植物園,鳴子峡など観光資源に富んでおり,アーチ式の鳴子ダムもある。…

※「川渡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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