川留(読み)かわどめ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「川留」の解説

川留
かわどめ

江戸時代川越(かわごし)制の実施された河川水位が一定限度をこえると川越を禁止すること。判定基準は河川によって異なるが,東海道酒匂川の場合,脇通りの水(約3尺5寸)で馬越禁止,首通りの水(約4尺5寸)で歩行差留となった。河川をはさむ宿は逗留者によって繁忙となり利益を得たが,沿岸村落は賄いを余儀なくされることも多く困窮した。川留は4~5日から1カ月に及ぶ場合もあり,旅行者が路銀を使い果たすこともあった。水位が下がると川越が再開され,これを川明(かわあけ)・留明といった。川留・川明の判定は川役人の裁量による。川明になると御状箱(ごじょうばこ)が優先された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「川留」の意味・わかりやすい解説

川留
かわどめ

江戸時代、大井川など川越(かわごし)の行われていた河川で、一定限度以上増水して渡河が困難な場合、川越を禁じたこと。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川留」の意味・わかりやすい解説

川留
かわどめ

川越」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の川留の言及

【川越】より

…ただし公用旅行者で将軍の朱印状,老中の証文などを持参する者は無賃で,一般旅行者は水の深浅によって御定賃銭(公定賃銭)を払い渡河した。河川は降雨によりしばしば増水し,そのつど川留(かわどめ)になった。川留になると旅行者は渡河することを禁じられ,周辺の宿に逗留せざるをえなかった。…

※「川留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android