川越市(読み)カワゴエシ

デジタル大辞泉 「川越市」の意味・読み・例文・類語

かわごえ‐し〔かはごえ‐〕【川越市】

川越

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日本歴史地名大系 「川越市」の解説

川越市
かわごえし

面積:一〇九・一八平方キロ

県の南部に位置し、南は狭山市・所沢市・入間いるま三芳みよし町・同郡大井おおい町・上福岡市、東は富士見市・大宮市・上尾市、北は比企郡川島かわじま町・坂戸市、西は鶴ヶ島市・日高市に接する。湾曲して流れる入間川で西・北・東を囲まれた川越台地北東端部と、その東の沖積低地、一部は同川左岸の入間台地東端部に立地する。市域を入間川支流の小畔こあぜ川、新河岸川とそこに流入する赤間あかま川・九十ぐじゆう川・不老としとらず川などが流れる。JR川越線が大宮市から日高市に通じ、南古谷みなみふるや・川越・西川越・的場まとば笠幡かさはたの各駅がある。東京池袋いけぶくろからの東武鉄道東上線はほぼ新河岸川沿いに上福岡市から市街に入り、中央部を鶴ヶ島市に抜ける。また西武鉄道新宿線が東京新宿しんじゆく本川越ほんかわごえ駅を結ぶ。関越自動車道が南西部を貫通、川越インターチェンジがある。大井町から入り、川島町へ抜ける国道二五四号と、狭山市から入り大宮市へ抜ける国道一六号が川越市街南東部で交差している。国道二五四号へは富士見市からの富士見川越有料道路が市街東部で合流している。このほか市街から日高市・鶴ヶ島市・川島町・上尾市・狭山市方面へ主要地方道が延びている。

川越の地名は、どこから来ても川を越えなければならない地であったことによるとする説がある。この場合、「越」には「渡」の意味が込められている。また古くは「河肥」とも表記したことから、川の潤いにより肥えた地によるとする説もある。中世までは「河越」と表記されることが多い。

〔原始・古代〕

市域の遺跡は、入間川流域・小畔川流域・新河岸川流域の台地上に所在する。入間川流域には縄文時代後・晩期の遺物と考えられる丸木舟(県指定文化財)中老袋なかおいぶくろから出土している。左岸の的場のかすみせき遺跡は弥生時代後期から平安時代まで続く大集落跡で、比企丘陵地域に分布圏をもつ弥生時代後期の岩鼻式・吉ヶ谷式土器を伴う竪穴住居跡が発掘されている。上戸うわどの河越氏館跡の周辺(龍光遺跡・天王遺跡)でも奈良・平安時代の竪穴住居跡が数多く発掘されている。古墳は的場の牛塚うしづか古墳や円墳の浅間塚せんげんづか古墳のある的場古墳群、上円下方墳山王塚さんのうつか古墳を含む南大塚みなみおおつか古墳群がある。また下流域の微高地には上老袋古墳群・古谷古墳群がある。

小畔川流域の吉田よしだ遺跡では旧石器時代の尖頭器が出土している。笠幡上組かみぐみII遺跡からは縄文時代中期の竪穴住居跡三と後期の竪穴住居跡三二、弥生時代後期から古墳時代前期前半の竪穴住居跡一八・方形周溝墓二、古墳時代前期後半の竪穴住居跡二二、古墳時代後期の竪穴住居跡三八などが発掘されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川越市」の意味・わかりやすい解説

川越〔市〕
かわごえ

埼玉県中部,武蔵野台地北東端の中核市。 1922年川越町と仙波村が合体して市制。 1939年田面沢村,1955年山田村,芳野村,名細村,古谷村,南古谷村,高階村,福原村,大東村,霞ヶ関村の9村を編入。中心市街地の川越は長禄1 (1457) 年太田道真・道灌父子が築城してから城下町として発展。江戸時代,川越街道と新河岸川の水運により江戸と結ばれ,江戸城の北の守りとして重要視され,柳沢,松平など譜代大名が配置された。明治以後第2次世界大戦までは,周辺の農村を背景とする城下町特有の狭い鍵形やT字形道路,蔵造りの老舗などのある落着いた商業都市であった。 1950年代なかばから宅地化と工業化が進み,東京の衛星都市へと変貌。南西部の国道 16号線沿いに川越・狭山工業団地が造成され,川越たんすに代表される在来工業に代って,機械,鉄鋼,食品などの内陸型近代工業が発達。西部に関越自動車道の川越インターチェンジがある。近くの東武鉄道東上線沿線に大規模な住宅団地が建設されるなど,都心部への通勤者が多い。中央を JR川越線が横断し,大宮に通じる。しかし,現在も城下町の落着いたたたずまいをよく残し,「蔵造りのまち」として観光客も多く訪れる。平安時代の河越館跡は史跡であり,天台宗の円仁開基といわれる喜多院には重要文化財,国宝が多い。面積 109.13km2。人口 35万4571(2020)。

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