(読み)カンナギ

デジタル大辞泉 「巫」の意味・読み・例文・類語

かん‐なぎ【×巫/×覡】

《「神和かんなぎ」の意。「かむなぎ」とも表記》神に仕えて、神楽を奏して神意を慰め、また、神降ろしなどをする人。男を「おかんなぎ(覡)」、女を「めかんなぎ(巫)」という。令制では神祇官所管に五人が置かれ、古代社会の司祭者の遺風を存した。こうなぎ。みこいちこ
[類語]霊媒占い師易者八卦見手相見陰陽師巫女みこ巫女ふじょ市子いたこゆた口寄せシャーマン

ふ【巫】[漢字項目]

人名用漢字] [音]フ(慣) [訓]かんなぎ
神霊と交わる呪術師。シャーマン。みこ。「巫覡ふげき巫蠱ふこ巫祝巫術巫女ふじょ
難読巫山戯ふざけ巫女みこ

きね【×巫/巫覡】

神に仕える人。神官巫女みこ
「あしひきの山のさかきはときはなる影に栄ゆる神の―かな」〈拾遺・神楽歌〉

こう‐なぎ〔かう‐〕【×巫/×覡】

かんなぎ」の音変化。

かみ‐なぎ【×巫/×覡】

かんなぎ」に同じ。

かむ‐なぎ【×巫/×覡】

かんなぎ

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精選版 日本国語大辞典 「巫」の意味・読み・例文・類語

かみ‐なぎ【巫】

霊異記(810‐824)下「卜者(カミナギ)に託(くる)ひて言はく『其の産める二つの石は、是れ我が子なり』といふ〈真福寺本訓釈 卜者 可三那支〉」

かん【巫】

〘名〙 (「かむ」と表記) =かんなぎ(巫)
※東宮年中行事(12C後か)六月「くら人しそくをさして、御かむあひそひてこれをみちびく」

ふ【巫】

〘名〙 みこ。かんなぎ。
※自然真営道(1753頃か)大序「儒仏老荘巫書、皆此例也」 〔礼記‐礼運〕

かむ‐なぎ【巫】

かむ【巫】

〘名〙 ⇒かん(巫)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「巫」の意味・わかりやすい解説


かんなぎ

覡とも書く。神祭りに仕え、あるいは託宣を受け、また神と人とのなかをとりもつ人をいう。「かんなぎ」の語義は、「神和(なぎ)の義也(なり)。神慮をなごむる意也」(『和訓栞(わくんのしおり)』)という。また、女を巫(ふ)といい、男を覡(げき)という(『伊呂波(いろは)字類抄』)。わが国では古くから女の巫が多く神祭りに仕えた。平安時代の『延喜式(えんぎしき)』巻9によると、「神祇(じんぎ)官の西院に坐(ま)す御巫(みかんなぎ)等の祭る神二十三座」と記されており、それらは御巫、座摩(いがすり)の巫、御門(みかど)の巫、生嶋(いくしま)の巫などが祭るとある。一方、男の覡は少なかったようである。

[沼部春友]

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知恵蔵mini 「巫」の解説

漢字の一つ。読みは「かんなぎ、フ」。心霊と交わる呪術師(シャーマン)や神に仕える人(神官や巫女)などのことを表す。三重県松阪市の夫婦が「巫」の字を使った子供の出生届を市が不受理にしたことに不服を申し立て、2014年8月、出世届けを受理するよう命じた司法判断が確定した。それを受け、法務省では15年1月7日付で戸籍法施行規則を改正し、「巫」が人名用語として認められることとなった。今回の改正により、人名に使える漢字は計2998字となった。

(2015-1-8)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「巫」の意味・わかりやすい解説



wu

中国のシャーマン。日本の巫女 (みこ) に相当する。舞を舞って神をおろし,祈って神意をうかがった。中国では先秦時代からその存在が知られ,漢代になると,女性で神がかりになる者を巫と呼び,男性のそれを覡 (げき) と呼ぶようになった。この神おろし,神がかりの行事は中国道教史においてかなり大きな役割を果している。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【シャマニズム】より

…ほかに〈沙門〉を意味するサンスクリットの〈シュラマナśramana〉やパーリ語の〈サマナsamana〉からの借用語であるとか,ペルシア語の〈シェメンshemen〉(偶像,祠)からの転化語であるとする説もある。中国では〈巫(ふ)〉(女性)および〈覡(げき)〉(男性)の語を用いる。
[特質]
 シャーマンが他の呪術・宗教的職能者と異なる点は,超自然的存在とのかかわり方における〈直接性〉にある。…

【中国文学】より


【古代(西周および春秋戦国時代――前11~前3世紀末)】
 中国文学の源流は二つある。一つは史官の文学,他は巫(ふ)の文学である。文字(漢字)が作り出されたのはごく古く,前20世紀以前だと思われる。…

※「巫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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